「家の中で何とかしなければ」母を追い込む思い
自傷行為が続く娘さんを前に、多くの母親は強い緊張の中で暮らしています。
外で起きてはいけない、学校や職場に知られてはいけない、周囲に迷惑をかけてはいけない。
そう考えるほど、問題を家庭の中に閉じ込めてしまいます。
「私がそばで見ていれば大丈夫」
「ここを乗り切れば落ち着くはず」
そう信じて見守り続けることが、母自身を限界まで追い込んでいきます。

心理ケアや相談だけでは変わらなかった日常
病院や相談窓口につながり、話を聞いてもらったとしても、娘さんの生活環境が変わらなければ現実は元に戻ってしまいます。
家に帰れば同じ部屋、同じ時間、同じ緊張感。
その中で感情が揺れれば、自傷行為が繰り返される。
母は「もっと理解しなければ」と自分を責め、家族は疲弊していきます。
問題は心の状態だけでなく、日常そのものに絡みついているのです。
娘さんを本当に救いたいと願うのであれば、もっと踏み込んだケアをしてくれる専門家の支援とつながる必要があるのです。

JECセンターは「預かるだけ」の施設ではない
JECセンターは、心理ケアだけを行う場所でも、単に預かる施設でもありません。
一定期間、娘さんの生活ごと受け入れ、環境を切り替えたうえで心理的なサポートを行います。
同時に、親御さんにも関わり方や距離の取り方を整理する時間を持っていただきます。
娘さんだけを変えようとするのではなく、家族全体に同時に介入する。
それがJECセンターの支援の軸です。

「立て直せる土台」をつくる入所という選択
JECセンターが目指しているのは、自傷行為を即座に止めることではありません。
娘さんが一度立ち止まり、生活と気持ちを落ち着けて向き合える状態をつくること。
そして母が「他人に迷惑をかけられない」と一人で抱え込む状況から抜け出し、家族として再び向き合える土台を整えることです。
長期的な視点で関われる民間施設だからこそできることがあります。
病院や行政では難しい症状にも、時間をかけて関係を立て直すことで回復を目指すうえでの重要な手伝いが可能です。
それは、母が自分を守るための決断でもあるのです。