母だけがすり減る、危うい家庭

午前2時、夜中に娘がかけてきた電話に飛び起きた母。

電話に出てみると消え入りそうな泣き声で「もう終わりにしたい…」

娘にはパーソナリティ障害の診断がありました。

日常的に衝動的な言動や自傷示唆が続いていて、母は毎日神経をすり減らしていました。

父は仕事で忙しくなかなか母と娘のフォローに回れない。

「いったいどうしたらいいの…」

対応に追われる母は、パートと家計管理、娘の病院対応などを一手に担っていました。

カレンダーは通院と欠勤の印で埋まり、母の睡眠だけが削られていく。

そんな家庭は珍しくありません。


罪悪感がもたらす“支援の遅れ”

パーソナリティ障害を持つ娘を前にすると、母はしばしば強い罪悪感にとらわれます。

「私の育て方が悪かったのではないか」「もっと早く気づいていれば違ったのではないか」

娘が感情を爆発させたり、自傷をほのめかしたりするたびに、その思いは深くなっていきます。

叱れば追い詰めてしまう気がして言葉を飲み込み、距離を取れば「見捨てた」と感じてしまう。

どの選択も間違っているように思え、母は身動きが取れなくなります。

この罪悪感は、母が弱いから生まれるものではありません。

むしろ、娘を守ろうとする責任感の強さから生じます。

パーソナリティ障害の特性として、対人関係の不安定さや見捨てられ不安が強く出ることがあり、娘の苦しみは日常のやり取りの中で母に直接ぶつけられます。

そのたびに母は「私が支え続けなければ、この子は崩れてしまう」と感じ、無意識のうちに全責任を背負い込んでしまうのです。

しかし、母が一人で抱え続けるほど、状況は硬直しやすくなり、いつまでも苦しみが続いてしまいます。


娘を救うためにはどうすればいいか

罪悪感が強まると、必要な境界線を引くことや第三者の手を借りる判断が遅れがちになります。

結果として、親子ともに消耗し、パーソナリティ障害に特有の問題が長期化してしまうことも少なくありません。

ここで大切なのは、罪悪感を否定することではなく、「一人で背負わなくてよい感情なのだ」と位置づけ直すことです。

今の娘の状態がどうであれ、それは母の愛情不足や失敗の証明ではありません。

生まれ持った気質や、成長過程でのさまざまな要因などが複雑に絡み合って表れたものとして正しく受け止めなくてはいけません。

母にできることは、完璧な支え手になることではありません。


必要なときに周囲と連携し(協力し)、娘と自分双方を守るための選択をすることです。

罪悪感に縛られたまま耐え続けるより、人の力を借りることは責任を果たすための一歩だと言えるでしょう。

JECセンターでは、そんな親御さんの不安をほどくための第一歩として、相談→面談→親子話し合いサポートといった流れを提案しています。

これは回復そのものを約束するものではありませんが、こじれ続ければ10年単位で長引くような問題でも、専門介入によって解決までの時間を短くすることが目的です。

母だけに集中していた負荷を分散し、スタッフが娘さんの言葉を丁寧に受け取り、聴き出せた本音を親御さんと共有します。

ある母は、その場で肩の力が抜け「ずっと私のせいだとばかり思っていました」と涙をこぼしました。

また、必要に応じて入所も検討しますが、順序はあくまで後段です。

家庭だけ抱えた場合の被害は、家計の破綻、仕事の継続困難、家族関係の断絶へと連鎖していく恐れがあります。

だからこそ、まずは相談・面談で現状を一緒に整理してください。

きっとその先に、家族でまた安心して生活できる時間を取り戻すための近道が待っています。

JECセンター各種サポート

【総合効果】

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心理宿泊休養…落ち着きを取り戻される

心理カウンセリング&心理査定…原因を特定できる

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