
娘のOD(過量服薬)に限界を感じる母
ある日の深夜、母はまた娘からの電話で目を覚ましました。
息を詰めるような声で、「もう薬飲んだ。死ぬかもしれない」とつぶやいたのです。
救急搬送の経験も数回あり、「死にたい」が口ぐせになった娘。
母は「またか…」という思う傍ら、心配と疲労で体も心も限界に近づいていました。
「どうして自分の娘はこんなにも死にたがっているのか…」
深夜だからといって放っておくわけにもいかない母は、家から離れた娘のアパートを訪れました。
机の上には空になった薬袋とコップが置いてあり、娘はベッドでうつぶせになっていました。
「今救急車読呼んだからね」と伝えると、「…うん」と返事を返す娘。
病院へ付き添い、医師に事情を説明し、胃洗浄をしてもらい、娘を病院へ預けて帰路につきました。
「このルーティンを何度繰り返してきたことか…」
そう思いながら、母はいつまでもこんなことを続けてはいられないという考えを巡らせていました。
娘の父はどちらかというと「娘のことは任せた」というスタンスのため、頼ることもできない状態。
母はひとり黙々とスマホで「娘 摂食障害 OD」「過食嘔吐 心の病気」といったキーワードを必死に検索し続けました。
精神的に不安定な娘を「ほったらかせば命が危ない」と思う一方で、「このままでは先に自分が倒れてしまう」という危機感が母を焦らせていました。

“なぜ繰り返すのか”わからないから対応に困る
お子さんがODを繰り返す背景には、自己否定サイクルが存在することがよくあります。
しかし、その仕組みを把握できている親御さんはほとんどいません。
不安や孤独に襲われると、その苦しみから逃れる(本人は救われると思っている)ため、薬に頼ってしまう。
「死にたい」と言葉にすることもある意味、「救われたい」という思いが交錯しているのです。
このような精神状態では、どのような手段であろうと一時的な安堵を得られるのであれば利用しようという傾向が見られます。
たとえ母が「危険だからやめて」と言っても、娘は「もうどうせ私なんて」と別れをほのめかすような言葉を返してしまう。
そのたびに言葉を失い、娘を支える側の親自身の心がどんどんすり減っていきます。

相談から始まる安心がある
JECセンターには、「娘のことで私自身、もう限界なんです…」という親御さんからの悲痛な訴えが数多く寄せられています。
実際、親御さん(特に母親)はとっくに限界を越えているにも関わらず、自分だけでなんとかしようと奮闘されていることが少なくありません。
そういった親御さんたちの大半は、あまり第三者へ相談するという発想を持ちません。
親としての責任感、世間体、経済的な事情、他言しにくいセンシティブな問題など、その理由は様々です。
そして、JECセンターへ満を持して相談された親御さんたちも、実はこうしたタイプであることがほとんどです。
早めに相談してくださればご負担も少なく済んだかもしれませんが、そうできなかったやむを得ない事情も確かに存在します。
私たちは、相談を渋られていたことについて責めるつもりはありません。
ですが相談を通して得られるたくさんのメリットについて、私たちは伝えずにはいられません。
限界と感じていたその先に「こんな方法が残っていたなんて」といった新しい発見が待っています。
娘のODに振り回され続けて来た母親も、涙をこぼしながら「もう一生このままかと思っていました…」と安堵されました。
スタッフはゆっくりと話を聴き、「お母さんも崩れそうな心で耐えていらっしゃったんですね」と言葉を返しました。
その後、娘さんに対しては親子話し合いサポートの場を設け、スタッフが親子の間に立って本音の対話を支えました。

まずはご自身を救ってあげてください
OD(過量服薬)を繰り返す娘さんを適切な支援なしに改善するのは非常に難しいものです。
その証拠に、家庭内だけで問題を抱えてしまった親子は心身ともに限界に達するまで耐え忍んでしまいました。
JECセンターでは、「娘を助けてください」というご依頼を承ると同時に、親御さん自身の心の救済も行っています。
家庭内で極度に頑張りすぎてしまう親御さんが居るという現実を踏まえ、親子双方の不安や痛みに寄り添う必要があるためです。
また、親子が距離を取った方が良いと判断された場合は、短期入所(1泊2日~)等のご案内もしています。
娘を救うためには、まず親の心から。
それが再び平和に親子が生活していくための第一歩になります。
一人で抱え込まず、相談を通じて理解と安心を重ねながら支え合う道を選びましょう。

*JECセンターは、20年以上に及ぶパーソナリティ障害の臨床研究と回復の実績を持つ。
元臨床心理士(現:施設顧問)佐藤矢市が考案した“心理休養”に基づいたサポートを提供しています。
JECセンター各種サポート
まずは無料相談をご活用ください。
Tel:0274-62-8826
受付時間9:00~20:00


