彼だけが唯一わかってくれるという勘違い
境界知能とは、知的障害ではないがIQが70~85の範囲にある人たちを指します。
全人口の約15〜20%を占めるとも言われ、日常生活は普通に送れていているように見えます。
しかし実際には、抽象的な表現の理解が難しかったり、対人関係の見極めが苦手、判断力が弱いなどの傾向が強い場合があります。
この“微妙なグレーゾーン”に位置する女性たちが、ホストたちにとって絶好のターゲットとなってしまうのです。
「彼はすごく誠実な人だよ!なんでわかってくれないの?!」
ホストのことを全面的に肯定しようとする娘の表情からは、鬼気迫る雰囲気すら感じられます。
親がいくら「騙されているんじゃないの?」と伝えても、娘の心には届きません。
「お前のことをわかってやれるのは俺だけだよ」
そんな甘い言葉を巧みに使い、彼らは娘の境界知能を見抜いて入り込んでいきます。
境界知能の娘は、他者との距離感を測るのが難しく、優しくされると“愛されている”と誤解してしまうのです。
境界知能を見抜き支配する構造
ホストが境界知能の娘を見定めるのは、驚くほど早いです。
最初は連絡頻度や返信の早さ、会話の理解力を観察し、「扱いやすさ」を測ります。
娘に金銭的余裕がなければ、「一緒に頑張ろう」と励まし、クレジットカードを使わせるよう誘導します。
実際、JECセンターに寄せられた相談の中には、ホストに生活費・家賃・学費まで渡してしまったケースが少なくありません。
娘は「彼を支えてあげたい」と言いますが、実際は精神的にも経済的にも搾取されています。
一度「愛情」と「お金」が結びつくと、境界知能の娘は依存のループから抜け出せません。
そして、親が止めようとすればするほど「理解のない親」として反発を強めてしまいます。
多くの親御さんが娘に抱く「本人の意思だから仕方ない」という諦めと「境界知能への無理解」が娘の救出を送らせてしまっています。
境界知能の娘の場合、“意思”は必ずしも“理解に基づく選択”ではありません。
さらに行政もまだ境界知能を持つ人たちへの明確な支援体制を整えておらず、その家庭が孤立してしまうケースが問題視されています。
親だけでは届かない娘の心
JECセンターでは、こうした「境界知能の娘のホスト依存」ケースに対し、心理ケアと環境の再構築を同時に進めています。
スタッフは、娘の“言葉の裏にある本音”を丁寧に拾いながら、行動を強制させずに「安全な場所で考える時間」をつくることを大切にしています。
ホストとの連絡を断ちつつ、生活リズムや睡眠を整える中で、スタッフが“家族の一員”のように接します。
「なぜ彼に惹かれたのか」「本当はどんな幸せを望んでいるのか」を一緒に言語化していきます。
親御さんにも娘の心理状態やセンターでの変化、打ち明けてくれた本音を共有しています。
「娘さんを責めず、境界知能という特性を理解して接してあげてください」
そういった視点から、家族全体の関係を再構築する支援を行います。
こうした家族と本人の同時支援が、JECセンターの大きな特徴です。
“守る”から“共に生きる”へ
境界知能の娘は、「少しの優しさ」と「小さな承認」に飢えています。
ホストに惹かれる背景には、“誰かに必要とされたい”という純粋な願いがあるのです。
その想いをただ否定するのではなく、正しい環境で再び自分を取り戻せるよう導くことが、親の役割だと感じます。
JECセンターのスタッフは、親が届かない部分にまで寄り添い、娘の「本音」を一緒に探ります。
時間はかかっても、娘が自分の力で“誰かに依存しない生き方”を選べるようになるまで、専門家と家族がチームとして支えることが使命です。
「ホストに喰い物にされる境界知能の娘」という言葉の裏には、社会が見落としてきた現実があります。
親御さんが今、声を上げることが、娘を守る最初の一歩になるのです。
*JECセンターは、20年以上に及ぶパーソナリティ障害の臨床研究と回復の実績を持つ。
元臨床心理士(現:施設顧問)佐藤矢市が考案した“心理休養”に基づいたサポートを提供しています。
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