親の金で投げ銭していた娘

「スマホの請求額がもう10万円を超えてしまう…」

今回は、ある家族の母親から寄せられた「娘(未成年)の浪費」にまつわるお話を一つご紹介します。

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母親が異変を感じたのは、銀行口座の残高がおかしな減り方をしていることに気づいたことがきっかけでした。

原因は何なのかと、通帳をチェックしてみると、ある時を境に娘さんに与えているスマホの請求額が増えていることがわかりました。

いつもなら、娘さんのスマホの1か月の請求額は2万円前後だったそうです。

ところが、ここ数ヶ月に至っては、5万円、6万円、7万円と数字が増え続けているのです。

母親は、どうせゲームか何かだろうと思いつつも「何にそんなにお金を使っているの?」と娘に聞いてみました。

すると、予想だにしない返答が返ってきました。

「TikTokで推しの配信者に投げ銭しているだけ」

母親は、その答えを聞いて一瞬頭が真っ白になったと言います。

その時は、「そんな無駄なことは今すぐやめるように」と、強めに忠告したそうです。

しかし、その後も娘の投げ銭が止まることはなく、スマホの請求額も増え続けていきました。

しびれを切らした母親は「やめられないならスマホを解約する」とまで言いました。

すると娘さんは、今まで見たことが無いほど怒り狂い、スマホを投げつけ、物に当たり散らし、泣きわめき、手が付けられない状態になったのでした。

困り果てた母親は、いったん父親の手を借りて娘を取り押さえ、いったんは落ち着かせることができました。

ただ、それでも娘さんはスマホで投げ銭することを一向にやめようとはしなかったのです。

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投げ銭、浪費の裏に隠された娘の真意

度重なる娘さんの投げ銭に、親だけではどうにもならないと感じた母親は、児童相談窓口に問い合わせました。

いくつか助言してもらったものの、その対応のどれを実践しても娘さんの投げ銭を止めるには至らなかったと言います。

その後も母親はありとあらゆる相談窓口へ問い合わせ、JECセンターへとたどり着いたそうです。

そこで初めて、もっと積極的な心のケアを勧められたのです。

「家庭内でできることには限界があります。娘さんには専門的なケアが必要かもしれません」

スタッフからそう告げられた母親は、娘さんの施設入所を決断するのでした。

なんとか娘さんの説得も終わり、いざ入所生活が始まると同時に母親との情報交換が始まりました。

娘さんはどんな経験をされてきたのか、親はこれまでどう接してきたのかなどのヒヤリングがありました。

それらを踏まえた上で、今後の見守り方、関わり方についてのアドバイスもありました。

「娘さんの一見散財とも取れる投げ銭は、単なる金銭感覚の甘さだけでは説明できません」

「その背景には『承認欲求』『孤独感の埋め合わせ』などが潜んでいる可能性がある」

たとえば、「誰かに必要とされたい」という気持ちから、無理にブランド品を購入したり、ホストに貢いだりする子もいます。

精神的不安定な状態にある娘さんは、一時的な安心感を得る一方で、罪悪感から自己肯定感を下げてしまう悪循環に陥っています。

このレベルになると、もはや親子だけで解決を目指すにも限界があり、専門的な支援が欠かせなくなっているのです。

JECセンターの心の救援で回復を目指せる

JECセンターの心の救援では、本人(娘さん)とご家族(母親)に対し、スタッフがまるで家族の一員のように関わりながらサポートしています。

心理ケアを得意とするスタッフが、問題行動の背後にある心の問題に焦点を当ててその原因を探ります。

単なる指導のようなものではなく、自身の心や家族との向き合い方などを見直してもらうためのアプローチが特徴です。

母親が一人で背負い込むのではなく、娘さんを安心して預けられる環境を整えているための拠り所となります。

そうしていくことで、やがて心の曇りが晴れ、問題行動も自然と鎮静化していきます。

大切なのは「これ以上は無理」と思ったときに、親が一歩踏み出して専門機関へ相談することです。

JECセンターへの電話相談は、365日可能です。

電話相談が難しい方には、メールからの相談も受け付けています。

大切な娘さんの未来と家庭の平穏も守るためにも、ぜひJECセンターへ相談してみてください。

*本コラムは、20年以上に及ぶパーソナリティ障害の回復実績を持つ

元臨床心理士(現:施設顧問)佐藤矢市が考案した”心理休養”に基づいています。