
どうして?就職面接を落とされ続ける娘
ある夕方、母親は娘の就職活動について電話越しに結果を聞き、何も言えなくなっていました。
独り暮らしをさせている娘は学歴もあり、面接も上手くいったと話していたにも関わらず、ことごとく不採用とされているのです。
新卒の面接で娘が落とされる理由が思い当たらず、ネットで必死に原因を調査していた母親は、あるキーワードが目につきました。
「これが原因かも…」と母親が疑ったのが、“裏アカ調査※”という言葉です。
※裏アカ調査…企業が採用選考の一環として、求職者のSNSの裏アカウント(匿名アカウント)を調査すること。企業の調査会社が求職者の投稿内容や交友関係などを調べ、採用判断の参考にしている。
近年では、「バイトテロ」を始めとした従業員の起こすリスク回避を目的として、企業が専門の調査会社に裏アカ調査を依頼していることがあります。
昔から物事を軽く捉える傾向のあった娘は、母親から見て少しリテラシーが低いと感じる部分がありました。
そのことから、「もしかして…」という思いが膨らんでいった母親は、電話でその話を娘に伝えると黙り込んでしまいました。
しばらく黙り込んでいた娘でしたが、ゆっくりと言葉を絞り出し、母親に心当たりを伝えました。
「もしかしたら…私が昔バイトでふざけて遊んでたことを裏アカに投稿してたかもしれない…」
母親はすぐにそのアカウントを消すよう娘に言いましたが、娘は黙って電話を切ってしまいました。
その後も娘にどう声をかけていいものかわからず、母親は眠れぬ夜を過ごしました。

裏アカを作ってしまう心理
“建前”しか言えないような人生を送っている人にとって、裏アカはメンタルを保つための依存対象となっていることがあります。
実名を公表していない裏アカでは、“遠慮なく本音を吐ける場所”として、軽い気持ちで危険な投稿をしてしまっていることも少なくありません。
しかし、その発言や個人情報が調査によって割れてしまい、就職活動に影響してしまっては元も子もありません。
この女子大生のケースでは、就職面接を落とされ続ける理由が他に思い当たらず、母娘共に裏アカ調査によるものだろうという結論に達しました。
しかし、その後も「裏アカを消した」という話を聞いていない母親は、娘が何を考えているのか分からなくなってしまったと言います。
裏アカに依存する人たちの心理は、精神的苦痛や自己評価の低さ、居場所の無さを感じているなど、様々な課題を抱えていることが考えられます。
そのことを親が心配したとしても本人は軽く考えがちで、相談を避ける傾向があります。

裏アカ女子のサポート
JECセンターには、「娘の考えていることがわからない」といった趣旨の相談が多く寄せられています。
親御さんの不安や心配を受け止めたあと、詳しい状況を伺い、現状を整理します。
すると、娘さんの心理に隠されているものがだんだん見えてきます。
多くの場合、それは家庭環境の影響を大きく受けており、また、本人(娘)も親も無自覚なことがほとんどです。
「親は娘に愛情を注ぎ続けて来たつもりが、ただの押し付けになっていた」
「娘はずっと親から認めてもらいたかっただけなのに、褒められた記憶がない」
こうしたすれ違いが続くと、やがて家庭のコミュニケーションは希薄になっていきます。
その結果、親は「娘の気持ちがわからない」となり、娘さんは「親は私に理解が無い」となってしまいます。
JECセンターの提供する面接、面談、親子話し合いサポートでは、そうした個々の心理を理解し、親子のすれ違いを埋めていくことができます。
先に挙げたケースで言えば、就職に影響が出ても裏アカに執着してしまう娘さんの心を理解できるようになります。
その娘さんは、スタッフが本音を丁寧に引き出していった結果、「裏アカは現実でのプレッシャーから逃げるための場所だった」と打ち明けてくれて、母親にも共有できました。
母親は初めて状況を理解し、娘さんの抱えていた不安の大きさを知ることとなりました。
親子話し合いサポートを通じて、母親は娘さんを精神的に支えるのは“裏アカ”ではなく“自分”だと気づき、娘を信じて待ってみることにしたのです。
母親は娘の手を握り、涙ながらに応援することを誓っていました。
心から安堵したような表情を見せた娘もまた、「ありがとう、お母さん」と言葉を返していたのが印象的でした。

まずできることから始める一歩
裏アカに逃げてしまう心理には、様々な理由があります。
しかし、匿名だから、誰にも迷惑がかからないからと言って、何でも言っていいということにはなりません。
女子大生の娘さんのように、裏アカでつぶやいた言葉が自身に降りかかる時がきっと訪れます。
そうしたリスクを防ぐためには、何でも相談しやすい安心できる環境を周囲が作ってあげることが必要です。
それは、一番身近にいる家族の役目でもあります。
もし、危険や被害が身に降りかかってきてしまった時は、専門機関へ相談してください。
「証拠がないから」「本人が否定しているから」と躊躇せず、まずは現状整理を行うことが大切です。
JECセンターでは、電話相談や面談で詳しい状況を伺った上で次の対応を提案しています。
親御さんの踏み出した小さな一歩が、裏アカに依存しない女子大生の娘の未来を守る力になると信じています。

*JECセンターは、20年以上に及ぶパーソナリティ障害の臨床研究と回復の実績を持つ。
元臨床心理士(現:施設顧問)佐藤矢市が考案した“心理休養”に基づいたサポートを提供しています。
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