
「私の育て方が悪かった」が母を縛る
娘が荒れるようになったのは、もう何年前からだろう。
最初は口答えだったものが次第に物を投げるようになり、やがて胸ぐらをつかまれるほどにエスカレートした。
それでも母は、家族にも、友人にも、誰にも言えなかった。
「私の育て方が悪かったんだ」
その考えが、母の中でいつの間にか“事実”になっていた。
夫も「そのうち落ち着くだろうから少しの辛抱だ」と言い、深く関わろうとしなかった。
母だけが毎日、娘の表情を気にし、機嫌を読み、地雷を踏まないように神経を張り詰めていた。
殴られても、蹴られても、罵倒されても、母は娘を責めなかった。
責める資格は、自分にはないと思っていたからだ。
「もっと話を聞いてあげればよかった」
「もっと厳しくすべきだった」
「私が弱いから、この子はこうなった」
そうやって母は、起きた出来事すべてを“自分の罪”として引き受けていった。
近所の人に物音を聞かれても、「大丈夫です」と笑った。
病院でアザを指摘されても、「転んだだけです」と答えた。
相談窓口の番号を何度も検索しては、画面を閉じた。
「相談するほどのことじゃない」
「母親なんだから、耐えるべきだ」
娘が暴れるたび、母の心の中では奇妙な計算が働いていた。
――これは私が我慢すれば済むこと。
――私が謝れば収まる。
――私さえ壊れなければ、この家は守れる。
娘の暴力を受け止め続けることが、母親としての責任だと思い込んできた。
けれどその結果、母は疲弊し、娘はさらに荒れていった。
この家族のケースで特徴的だったのは、暴力そのものよりも、「母が一人で責任を背負い続けていたこと」だった。
母が「私のせいだ」と思い込んでいた間、娘の問題は“家族の問題”として扱われることはなかった。

見守り続けても、状況は自然には変わらない
家庭内暴力は、誰か一人の責任で起きるものではなく、ましてや「母の育て方が悪かったから」などという単純な話ではありません。
けれど、この母は長い間その考えに縛られ続け、「私が悪い」と思い込み、ずっと助けから遠ざかっていました。
この家族が変わるきっかけは、母がようやく「もう一人で抱えるのは限界」と言葉にできた瞬間でした。
それは娘と家族を守るために、初めて現実を見る決断でした。
母が自分を責め続けることで保たれていた“静かな崩壊”は、外に助けを求めたことで、ようやく止まったのです。
家庭内で娘から親への暴力が起きていても、親はすぐに助けを求められないことがあります。
「ここまで追い詰めたのは自分だ」
そんな罪悪感が、親の行動を止めてしまうことは決して珍しくありません。
警察や行政に相談するほどではない、でも家庭の中は限界に近い。
その曖昧な状態の中で、親は見守るしかないと思い込み、時間だけが過ぎていきます。
暴力が落ち着く時期が一時的にあっても、生活環境や親子関係が変わらなければ、根本は何も変わりません。
親は衝突を避け、娘は家庭内で感情を爆発させる。
その繰り返しが続くうちに、家庭全体が緊張に支配されていきます。
相談や助言を受けても、娘が同じ生活環境に戻れば、現実は元に戻ってしまう。
問題は心だけでなく、日常そのものに深く絡みついているのです。

入所で「立て直しの土台」をつくる
JECセンターでは、家庭内暴力の娘さんに対し、生活ごと受け入れる入所サポートを提供しています。
これは、環境を切り替えた上で長期的な心理サポートが受けられるものです。
同時に、親御さんに対してもこれまでの関わり方や家庭内の構造を整理する支援を行います。
娘さんだけを変えようとするのではなく、家族全体に同時に介入することが、JECセンターの大きな特徴です。
JECセンターが目指していることは、暴力を一時的に止めることではありません。
娘さんが感情を落ち着け、自分の生活と向き合える状態をつくり、親との関係に折り合いを付けられることを目標としています。
そして親御さんが、罪悪感だけで動けなくなっていた状態から抜け出し、再び向き合える力を取り戻すことも忘れてはいけません。
長期的な視点で関われる民間施設だからこそ、時間をかけて関係を立て直すことができます。
見守り続けた後悔を、これからの行動に変えるための選択肢。
それが、JECセンターの施設入所です。

JECセンター各種サポート
【総合効果】
8割のご家庭で娘さんの社会復帰や親子関係の回復を実感(当社比)
・親子話し合いサポート…親子の行き違い、わだかまりを解消できる
・再生医療後不安への心理ケアなど…状況に応じたケアが受けられる
まずは無料相談をご活用ください。
Tel:0274-62-8826
受付時間9:00~20:00

