
娘が帰らない…底知れぬ不安
ある晩、JECセンターへ母親から電話相談がありました。
「娘の家出について相談したいんですが、どうすれば繰り返しを防げるんでしょうか?」
母親はこれまでに3度も娘が家出をして帰ってこないことがあり、その度に警察へ捜索願を出してきたと言います。
家を出ては数日間帰ってこない。その間に一体どこで過ごしているのかと考えると気が気ではない…
そんな折、警察から「娘を保護した」という情報が入ってきたことで安心したのも束の間、母親は娘がどこに居たかを聞いて、居てもたっても居られなくなってしまったのです。
警察が本人(娘)に聞いた話によると「SNSで知り合った大人の男性の家に何泊かしていた」というのです。
こういうのを、俗に「神待ち※」というのだそうです。
※神待ち…家出をした未成年者が、SNSやインターネット掲示板を通じて、無料で宿泊場所や食事などを提供してくれる人(「神」「泊め男」などと呼ばれる)を探す行為。
この家出神待ちの問題点は、性犯罪や誘拐などの犯罪被害に巻き込まれる危険性が非常に高く、警察も注意喚起を行っています。
その説明を受けた母親はこのまま放置できないと思い、ネットで相談できるところを探したところ、JECセンターが見つかったのだそうです。
「娘が家出を繰り返してしまう理由がわからない」
「このままでは娘は二度と帰ってこなくなってしまう気がする」
焦る母親は、どうにかして原因を突き止め、娘の家出を止めたいという強く願っていました。

家出の背景を探る
家出の背景には、単なる反抗や衝動では片づけられない複雑な心情があります。
中でも、ほとんどのケースに見られる傾向として「家庭以外に安心できる場所を求めている」心理が影響していることが考えられます。
例えば、家庭に居場所がないと感じていて、尚且つ学校などでも孤立してしまい、寂しい思いをしていたとします。
やがてスマホばかり見るようになり、SNSなどで優しい言葉に心を引き寄せられ、現実から逃げようとするのです。
娘さんが「家には帰りたくない」と言うような時、それは“親の愛情を拒絶”しているのではなく、“自分の苦しさをうまく言葉にできない”状態なのかもしれません。
家出を繰り返す娘さんほど、「周りは誰も分かってくれない」という思いを抱えています。
そこで親が焦って説得しようとすればするほど、さらに距離が広がってしまうことも少なくありません。
そんな時は、娘さんに対する慎重な対応が求められます。

娘さんの声を丁寧に拾う
JECセンターが過去にサポートしてきた家出娘の家族のケースでは、親子話し合いが行われました。
その話し合いの中でスタッフが娘さんにこんなことを聞いてみたことがあります。
「どこにも帰れない時、どんな気持ちだったの?」
と尋ねると、娘さんはうつむきながら小さな声で答えてくれました。
「家が嫌だったわけじゃないの…私はどこに居ても不安になって、苦しいの」
そう語った娘さんを見ていた母親は、その言葉を聞いてうっすら涙を浮かべていました。
「そんなにつらい思いをしていたなんて、お母さん気づけなくてごめんね…」と絞り出すように話されました。
このように、スタッフを交えての親子話し合いでは、お互い普段言わないような言葉を引き出すことができます。
話し合いの後もスタッフは家族に寄り添い、母親と娘さんが気兼ねなく“話せる関係”を再び取り戻せるよう橋渡しをします。
時には、必要に応じて心身を休める目的で一時的な受け入れ(入所)も行っています。
家出娘にとって大切なことは、焦らず「信頼の回復」から始めることです。

娘を救う第一歩を一緒に考えます
娘さんの家出という行動は、言葉にならない「SOS」であることがほとんどです。
親御さんがひとりで抱え込んでしまうと、そのSOSに気付くことなく、家族が離ればなれになってしまうことも少なくありません。
JECセンターでは、そんなご家族からの電話相談を待っています。
駄目もとでもかまいません。話すことで状況が見えてくることだってあります。
ひとりでは気づきにくいような「家出娘との向き合い方」のきっかけがつかめることもあります。
娘さんを犯罪被害から遠ざけ、命を守るための行動は、必ずしも大きな決断ではありません。
まずは現状を一緒に整理し、再び親子の距離を縮めるための一歩を踏み出してみましょう。

*JECセンターは、20年以上に及ぶパーソナリティ障害の臨床研究と回復の実績を持つ。
元臨床心理士(現:施設顧問)佐藤矢市が考案した“心理休養”に基づいたサポートを提供しています。
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