家の中で起きていることを誰にも言えない

物が飛び、怒鳴り声が響き、腕を掴まれる。

 

「まさか自分の娘から家庭内暴力の矛先を向けられるとは思ってもみませんでした…」


そう語る母がほとんどです。

 

家庭内では荒れていても、外では普通に振る舞う娘。


だからこそ、誰かに相談しても信じてもらえないのではないか。


まして、警察にでも通報したら取り返しがつかないのではないか。

 

そう考え、母は家の中で起きている現実を一人で抱え込み続けてしまいます。

 

恐怖と同時に、「ここまで追い詰めたのは私なのでは」という自責の念が、逃げ場をふさいでいきます。

「見捨てられない」母の優しさが限界を超えるとき

暴力を受けても母が離れられないのは、愛情があるからです。

 

娘の苦しさが伝わるほど、「この子を手放したら壊れてしまう」と感じてしまう。

 

しかし、家庭内暴力は意思や努力だけで止まるものではありません。

 

感情調整がうまくいかない状態では、最も近い存在に攻撃が向きやすくなります。

 

母が耐え続けるほど関係は歪み、問題は長期化します。

 

守ろうとして踏みとどまることが、結果的に双方を傷つけてしまうケースも少なくないのです。

「預ける」は関係を守る選択

第三者の関与によって距離を取ることは、冷たい判断ではありません。

 

「預ける」という選択は、母の安全を確保し、娘の状態を立て直すための現実的な手段です。

 

家庭という密閉空間から一度離れることで、暴力の連鎖は止まりやすくなります。

 

支援の場では、感情の背景や親子関係のねじれを整理し、再び向き合う準備を進めることができます。

 

回復を魔法のように約束する場所ではありませんが、放置すれば何年も続く苦しみを、短い時間軸に引き戻す力があります。

母の命と心を守るために、今できる一歩

まず必要なのは、誰かに現状を話すことです。


そしてできることなら、家族、親族の助力を得てください。

 

専門家との相談や面談を通して、事実と感情を切り分け、選択肢を整理することも効果的です。

 

いきなり大きな決断をする必要はありません。

 

母の安全が守られ、且つ娘を守ることが前提条件です。

 

「預ける」ことは責任の放棄ではなく、関係を壊さないための一歩です。

 

どうか一人で限界まで耐え続けないでください。

 

守られるべき存在は、娘だけではなく、お母さん自身でもあるのです。


ご家族とよく話し合った上で、私たち専門家に相談し、サポートに繋げてあげてください。

 

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