
パーソナリティ障害の難しさ
実の娘がパーソナリティ障害特性を持っていた場合、親御さんはその対応に限界を感じる時が必ず訪れます。
最終的に「親子が距離を置くしかない」と決断するまでには、言葉にできない葛藤があります。
守り続けた年月、裏切られ続けた痛み、もう限界だという心。
決して見捨てまいと誓い、耐えに耐え抜いた末の決断だったはずです。
長年パーソナリティ障害に悩む家族と向き合ってきた私たちには、その気持ちがよく理解できます。
中でも、“境界性パーソナリティ障害”では、「距離を置く」「連絡の断つ」といった対応は「見捨てられた」という感覚を一気に強めてしまいます。
それは時に、生きる糸を切ってしまうほどの衝撃につながる可能性すらあります。
かと言って、親が倒れるまでそばで面倒をみるという選択も間違っています。

最悪の結末を迎えた家族に習う
パーソナリティ障害を持つ娘さんに対し、「もう良い年齢だから自立を促したい」「これ以上振り回されたくない」などの理由から距離を取ることを選ばれた家族がいました。
こうした対応は健常な娘さんが相手であればごく普通の対応と言えます。
ところが、パーソナリティ障害(特に境界性パーソナリティ障害)を持つ娘さんには、孤立と絶望を与えてしまいます。
連絡は取っていないものの、生活資金を一人暮らしの娘に送り、それでなんとかなっているものと思っていたそうです。
ここからは推測になりますが、娘さんは親から離れ、連絡もないことに深い悲しみと憤りを感じていたはずです。
「私はもういらないから捨てられたんだ…」といった風に、被害妄想を膨らませていたかもしれません。
結果的に、娘さんは自身の命を絶ってしまったのです。
この家族の知らせを聞き、私たちも深い悲しみと後悔を覚えました。
もし、もっと早い段階で介入できていれば結果は変わっていたかもしれない。
今となってはその答えは誰にもわかりません。
ご家族も、「いくら限界だったとは言え、連絡だけは絶つべきではなかった」と懺悔していました。
たとえ親子が物理的に距離を置く決断を下したとしても、「連絡だけは絶やさないでおく」という選択が命綱になることがあります。
パーソナリティ障害の特性の一つとして、人とのつながりを失った瞬間から追い込まれ、絶望してしまうこともあると覚えておいてください。

縁だけは切らないでください
最も残酷なのは、取り返しのつかない後悔が「正しいと思って選んだ行動」の後に訪れることです。
「追い詰めたのは自分だ」という罪悪感は、真面目で責任感の強い親御さんほど一生消えません。
しかし、長年守り続け、助け続けた事実まで否定しないでください。
親御さんは冷酷だったのではなく、限界まで耐え抜いてきたのです。
後悔は愛情の裏返しであり、責め続けるほど癒えにくくなります。
JECセンターが伝えたい警鐘は一つです。
家族だけで援助を続けられなくなっても、縁だけは切らないでください。
怒りや失望があっても、「生きているか」「つながっているか」だけを確認できる関係は残してください。
できることなら、専門家の支援に頼るという選択肢についても考えてみてください。
家族だけで抱え込み、孤独に決断を下すことを私たちはおすすめいたしません。
「間違えたくない」「どうしたらいい?」といった悩みでもかまいませんので、私たち専門家に一度ご相談ください。
JECセンターは、家族一人ひとりの大切な人生を守るための手助けとなることができます。

*JECセンターは、20年以上に及ぶパーソナリティ障害の臨床研究と回復の実績を持つ。
元臨床心理士(現:施設顧問)佐藤矢市が考案した“心理休養”に基づいたサポートを提供しています。
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