パーソナリティ障害における困難事例の紹介
わが子が様々な問題行動を起こし、毎日のようにその対処に追われ、ひと時も気が休まらないという訴えは、パーソナリティ障害を抱えるご家族や親御さんにとても多く見られます。
以下に、当施設が実際に扱ってきた困難事例と、過去10年間における当施設入所者の問題行動の割合(2015年4月現在)をご紹介いたします。
わが子の症状や問題行動に少しでも当てはまると感じたご家族や親御さんは、一度当施設へご相談ください。
【目次】
case1. ホストに貢いで借金地獄 case2. 自殺未遂を繰り返し… case3. 家庭内暴力でボロボロ… case4. アルコール依存症で… |
ホストに貢いで借金地獄
(当時22歳の女性、境界性パーソナリティ障害の例)
ホストクラブに通い始めたのは20歳の頃。友人に誘われたことがキッカケでしたが、徐々にホストクラブの世界観に魅了され、いつの間にかお気に入りのホストに会うために親のお金を盗み、ホストへ貢いでいきました。
盗みが発覚した娘を問い詰め、ホスト通いを止めるよう説得しましたが、かえって行動が激しくなってしまい、ついには○○百万円もの借金を作り、その請求が親元へ届くようになりました。
当の本人は、お気に入りのホストを次から次へと変えては、再び借金。親の元には請求書の嵐。まさに借金地獄と化していきました。
自殺未遂を繰り返し閉鎖病棟への入退院
(自殺未遂と名のつくものはすべてやりつくした当時33歳の女性の例)
大量服薬、飛び降り自殺、リストカットなど様々な方法を使って自殺未遂を繰り返してきましたが、そのたびに閉鎖病棟への強制入院となりました。
入院すればすぐに落ち着きを取り戻し、「良い患者」を演じることに長けているため、すぐに退院となってしまいます。
しかし、ひとたび自宅へ戻ってくると再び自殺未遂が始まってしまうので、娘を一人にしておけません。
親は仕事も辞めてしまい、今は娘の専属奴隷のようです。
毎日のように「このまま一家心中したほうが・・・」と良からぬ考えが頭をよぎるほどに追い詰められてしまいました。
家庭内暴力でボロボロの親
(当時29歳の男性、強迫性パーソナリティ障害の例)
大学卒業後、就職活動が上手くいかず、以来自宅でひきこもり生活を送っています。
感情に激しい波があり、抑うつ状態の時は一日中寝て過ごし、気分が高揚している時は一日中でも母親を正座させて説教。
思うようにならないことがあると「こうなったのはお前たちのせいだ!」と暴言を吐き、激しく暴力を振るうようになってしまった。
警察に介入してもらっても、コロッと態度を変え、何事もなかったかのように振る舞うので、警察も「家族の問題なので・・」と真剣に取り扱ってくれません。
医療機関にも行きたがらず、自身に問題意識もありません。何の解決もないまま家庭内という密室で何年と親への暴力が繰り返されています。
アルコール依存症で長期間引きこもり
(当時40歳の男性、依存性パーソナリティ障害の例)
数年前まで親のお金で独り暮らしをしていましたが、毎日大量のアルコールを浴びるように飲んでは近隣住民とトラブルになり、仕方がなく実家へ戻しました。
それからというもの、家に閉じこもったまま一日中お酒を飲み続けようとするので、家族が家中のアルコールという名のつくもの全てを処分して飲酒できないようにすると、「酒を買う金を出せ!」と暴れ始め、親へ暴力を振るってお金を巻き上げます。
時には親の通帳を無理やり取り上げ、勝手に銀行から金を引き出してはお酒を購入していました。
常に体内にはアルコールが入っている状態で、シラフの状態は見たことがありません。
病院へ連れて行こうとするものなら突如として怒りを露わにし、「俺は何もおかしくない!お前らの方こそ病院へ行って治療してこい!」と激しく訴える始末。
酒がなくなれば親にせびり、断ると暴れるという行動の繰り返しです。
地域の精神保健福祉センターへ相談に行くも「様子をみていきましょう」と言われるだけで何の解決にもなりません。
腫れ物に触るように息子と接することしかできず、何よりも親の体力がもちません。
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