皆さん、こんにちは。当センターのモットーは、物理的にも精神的にも、まずは「安心感」を抱けるようになることです。

これには、人間が生きていく上で、絶対条件となる衣食住と人間関係が含まれます。
 
食べるものが常に用意され、安心して眠れる場所が確保されている。また、その人がその場にいないと、誰かが心配してくれて、見つけ出そうとしてくれるような関係、困った時は、いつでも相談に乗ってくれるような関係が「安心感」を抱けるようになるためには必要なのです。
 
これらの条件は、当たり前のように見えて、実は、パーソナリティ障害を抱える方たちにとっては未経験な体験でもあります。
 
だからこそ、他人も自分も信じられず、周囲から大切に扱われる自分を許せず、「人は必ず自分から離れていくだろう」という強い思い込みを持っているのです。
 
では「安心感」とは、一体どういった体験なのか、早速見ていくことにしましょう。

当事者の体験談より

私は時々、調子を崩す時があります。
 
ですが、そういった時も信頼している職員さんに相談に乗ってもらうこともでき、病院へ行くこともできるので、センターで安心しながら生活させてもらっています。
 
調子を崩した時にはすぐに職員さんが気付いて心配もしてくれて、調子を取りもどせるよう協力してくれ、相談にも乗っていただいています。
 
仲の良い入所者の方とも、お互いまた元気になれるようにと協力しながら楽しく生活させていただいています。
 
原因がわからなくてモヤモヤすることもよくありましたが、そういう時、職員さんに相談し、一緒にその原因について考えてもらえることもあります。
 
センター入所者の友人には、わかりあえる部分の多い方もいます。
 
頻繁に話し合い、一緒に遊んだりと楽しい時間も一緒に過ごし、一緒に爆笑する時も、お互いの弱音も吐き出すことも、涙してしまう時もあります。
 
調子を崩した時もすぐ気付いてくれ、調子を崩しそうなことがあると心配してくれることもあります。
 
こういう時に「あ~、自分には友達がいる」と思えて、頑張れることも自分を取りもどせることもあります。
 
人との適度な距離感を持つことがこれまでずっと苦手でしたが、そのことに気づいて、理解しているからこそ、異性に対しても「人として好き」という感情が生まれてきたのだと思います。
 
今までは、異性と仲良くなるといつでも恋愛の絡むものでしたから、ある意味では今は恋愛に対して臆病になっていると言えるのかもしれません。
 
ですが恋愛をいつか自然体にしていくためには、「人として好き」というその感情を大切にしていこうと思っています。
 
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衣食住にプラスアルファとして、「友達関係」という存在も安心感には欠かせません。
 
良いことも悪いことも言い合える、親のグチや不満をお互いに言い合える、調子が悪い時はお互いに支え合えるような関係を一つでも多く持っておくことが、パーソナリティ障害者の回復には必要不可欠なのです。