パーソナリティ障害者に問題行動が伴うのは、どうして?

 

パーソナリティ障害者に問題行動が伴うのは、それだけ内面の葛藤が大きいからではないでしょうか。内面の葛藤とは、人格深部(或は全体)を揺さぶるほどの体験であ、その影響が、全身(行動、感情、身体の全域)にまで波及しやすい傾向であると読み取れます。

例えば、”ちょっとしたミス”を他者から注意される場面を挙げてみましょう。パーソナリティ(人格)機能に著しい障害のない方は、他者の注意を冷静に見極め、その後の対処に向けた行動に移ることができるでしょう。しかし、人格機能に著しい障害のある方は、「1つのミス=他者の注意=人格全体の失敗」のように思えてしまい、人格全体を否定されてしまったかのような感覚にまで発展してしまうのです。

人格全体を否定される感覚は、誰にとっても強烈な苦痛です。ですから、その内圧(葛藤)から「逃れよう」とするかのように、衝動的行動(問題行動)が誘発されていると考えられます。

問題行動だけを指摘しても、なかなか改善が見られないのは、こうした背後の問題があるからではないでしょうか。

そこで、心理支援(こころのケア)では、そうした行き過ぎた解釈傾向(心のモード)を、ご本人との語り合いでじっくりと振り返ります(成育歴、家族関係なども必要に応じて語り合います)。特に、その心のモードが、自分にとって正しくはないこと(自分のホンネにそったものではない)、環境や経験から学んだもの(当時はそうせざるを得なかったもの)、今の自分にとって必要ではないこと(自分を幸せにする・助けるものではない)等の可能性(新しい解釈)を一緒に探ります。

自分を突き動かす力(力動)に気づけると言うことは、それに支配されない新しい行動選択を手にすることにもなります。それは、新しい自分(自分らしい生き方)を手にすることでもあり、本当の意味で自分を大切にする方法を知ることにもつながるでしょう。こころのケアとは、それだけ大きな恩恵があるのです。