症状

解離性障害は、自分が自分であるという感覚が失われている状態といえるでしょう。

たとえば、ある出来事の記憶がすっぽり抜け落ちていたり、まるでカプセルの中にいるような感覚がして現実感がない、いつの間にか自分の知らない場所にいるなど、様々な症状があります。

 

こうした中で、自分の中にいくつもの人格が現れるものを多重人格障害(解離性同一性障害)といいます。

ある人格が現れているときには、別の人格のときの記憶がないことが多く、生活面での様々な支障が出てきます。※1

人格障害者施設・宿泊心理センター

 

体験談

解離性障害は様々な原因によって引き起こされる精神疾患の一つです。

事故や災害、虐待、暴行などといったいわゆるトラウマ的な体験がきっかけとなり、解離状態が引き起こされます。

 

実は、この現象は人間の精神の防衛機能によるもので、受けたダメージ(トラウマ)が大きすぎて精神の中だけでは処理しきれないために起こる回避現象と言われています。

 

ここで、当施設へ過去に入所されていた当時30代の女性の体験を例に、解離性障害について深堀りしてみます。

 

彼女は、時折ぼーっとうつろな感じになったかと思うと、普段の彼女からは想像もできないような凶暴な性格に豹変してしまうことがありました。

 

そうなってしまった彼女は、決まって最後に自傷行為や自殺企図などをして、自分の苦しさに抗っているようにも見えました。

 

彼女を含め解離性障害の症状は、第三者から見るとまるで「演技」でもしているかのように見えてしまうことが少なくありません。

そのため人に誤解されやすく、また、その誤解(理解されない)によって当事者の症状はさらに悪化していく傾向があります。

 

それらを未然に防ぐ意味もかねて、自身の症状を他者にしっかり説明できるほどの病気への知識を身につけたり、周囲もしっかり症状を理解してあげる必要があります。

 

実際に彼女は、施設に入所されている間、頻繁に心理士のカウンセリングを受けて自分の病気への理解を深め、スタッフや仲間に説明する練習をしている姿を見かけました。

 

その他にも、解離性障害の回復のためには、安心できる環境づくりや、一人で抱え込まずに他者へストレス要因を打ち明ける訓練が必要と言われています。

 

これらに関しても、当施設には同じ悩みを持つ仲間や、理解のあるスタッフたちに囲まれていることによって回復への条件は満たされています。

 

彼女も、時間はかかりましたが、その症状は最初の頃よりも緩和されていき、最終的には日常生活に支障が出ない範囲にまで抑えることに成功しました。

 

彼女のように大きな精神的ダメージを経験してしまうと、誰しも解離性障害になり得る可能性を秘めています。

これまでに説明してきたような症状に気づいたなら、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

 

 

※1引用元「みんなのメンタルヘルス:厚生労働省」こころの病気を知る> 病名から知る > 解離性障害

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