皆さん、こんにちは。

シリーズブログの第一部「小さな気づきで全てが変わる~Small changes make
a big difference」29回目になります。

今回は、パーソナリティ障害者に見られる最後の基本症状について解説して参ります。

破壊的な衝動

パーソナリティ障害者は、常にというわけではありませんが、日常生活で起こる様々な出来事やそれに伴う感情を一つ一つ処理していく能力が弱い所があります。

心と言う装置の許容量がとても小さいために、些細な出来事や自分の思い通りにいかないことがあるとすぐに許容量を超えてしまい、突然混乱状態におちいってしまったり、解離した状態になってしまうのです。

いったん許容量を超えてしまうと、もう心で処理することができなくなってしまい、心のバランスが崩壊した結果、突然自分を傷つけるような衝動に駆られたり、自分や相手を損なうような破れかぶれの行為に走ってしまいます。

OD(大量服薬)や自傷行為・自殺未遂(リストカットやアームカット)、アルコールやセックスなどの依存行動などに走ってしまうことも珍しくありません。

今まで順調に取り組んでいた物を、突然全て台無しにしてしまったり、周りから見ると理解不能のような行動の背景には、心のバランスを崩している状態が考えられます。

感覚としては全てリセットしてしまうような感じです。

境界性パーソナリティ障害 20代女性の例

ある20代の女性は、バレンタインデーの日に手作りチョコレートを彼氏に渡そうと待ち合わせをしていましたが、待ち合わせ時間を過ぎても彼氏はいっこうに現れません。

待ち合わせ時間を3分過ぎた頃に、彼から15分遅れるという連絡が入りました。

その連絡を受けた女性は、予定通りに彼が来ないことを、連絡が3分も遅れたことを根に持ち、突然「もう別れる!」と言って、手作りチョコをゴミ箱へ捨ててしまいました。

パニック状態になった彼女はアパートに帰宅後、大量に薬を飲んでしまい(OD)、彼氏に発見され病院に運ばれるという結果になってしまいました。

彼から話を聞いてみると、日頃、待ち合わせではいつも彼女の方が遅刻をしてきて、1時間以上も待たされることはざらにあるといいます。

この日はたまたま仕事の都合で、彼氏さん側が遅れただけのことでしたが、予定が急に変更されたこと、自分の思い通りに彼が行動しなかった状況に心が対応しきれずに、全てをリセットしたい衝動に駆られ、ODを行なってしまったのです。

心の器を強く大きくすることが大切

例に挙げた女性のように、パーソナリティ障害の人は、その瞬間には理性の歯止めが利かなくなり、記憶が飛んでしまったり、まるで別人のような行動を引き起こすこともあります。

こういった状態になってしまう理由の一つが、「心の器」がいっぱいになりすぎて、処理機能が追い付いていかないということです。

つまり、この「心の器」を大きく丈夫に成長させていくことが重要なのですが、突然成長するようなものではないので、段階を追って、少しずつ変化させていくしかありません。

心の器の成長には、「安心感」や「信頼感」を抱けるようになることが大前提だということも忘れてはなりません。