皆さん、こんにちは。

佐藤矢市先生の「パーソナリティ障害の回復には決断と見守る連携が必要」シリーズ第13回目となります。

今回は、「心の回復」と同じくらい重要な「現実適応能力の向上」を、当センターではどのようにして回復されていくのかについて矢市先生に解説していただきます。

空虚感を満たし、現実適応能力を高める

パーソナリティ障害者の心の中にはポッカリと穴が開いているような感覚があり、それを「空虚感」と呼びます。

「空虚感」には2種類あり、①愛情と関心を巡るもの(無条件に自分を受け入れてくれる存在を捜し求めているが、そういう相手が見つからないという寂しさ)と、②現実での無力感と挫折感に伴うもの(何をやってもうまくいかないという気持ち)に分かれます。

この「空虚感」を扱う場合には、①と②の両方向に働きかけ、改善を行っていく必要があります。

両方向を見据えておかないと、パーソナリティ障害のケアは何の効果も持たなくなってしまうので、どちらか一方にだけ働きかけてもうまくいきません。

愛情と関心を巡る空虚感を心理療法的アプローチ(心のプロセス)で扱う一方、現実的な適応能力(サバイバル能力)を、同時に高めていくことも必要になります。

つまり、パーソナリティ障害者が立ち直っていくには、心のプロセスと同時に日常生活能力や社会適応能力、就労能力をも高めていくことが必要になります。

なぜならば、現実の生活の中で適応していくことで自分に対する信頼を取り戻し、空虚感を和らげ、否定的な見方を変えていけるからです。

また、人から「感謝される」という体験もとても大きな効果を示します。

やはり実際の社会の中で自分を生かすチャンスを得ることが自信の回復につながることは間違いないでしょう。

現実適応能力を高めるには?

当センターでは、現実適応能力を高めていくために様々なプログラムを用意してあります。

向上意欲のある人には、自然と現実適応能力を高めて行けるような仕組みになっています。

例えば、毎日の散歩や、洗濯や料理の手伝いなどを継続することで適応能力を高めていかれた方もいました。

パーソナリティ障害者は何事においても、継続することに困難を示します。

気分の浮き沈みが激しいので、今やっていたことでもすぐに中断してしまいがちです。

まずはどんな小さなことでも良いので、「継続すること」が現実適応能力の向上に貢献し、結果的に自信の獲得へとつながります。

支援する側も、どんな些細なことであれ、本人の「がんばり」「希望」を認めてあげることが「継続すること」の手助けになりますので、信じて見守ってあげてください。