愛着障害とは

愛着障害とは、親などの特定の養育者との愛着形成がうまくいかないことで現れる困難の総称です。

愛着障害については医学・心理学で様々な考え方があり、定まった定義などがない状況です。

しかしなんらかの対人関係や社会性に困難がある大人の中に、その原因が愛着形成に問題があるのではないかと考える人も少なくないようです。※1

 

人格障害者施設・宿泊心理センター

 

原因と理解

愛着障害は発達心理学においてもその問題性が指摘されていました。

社会生活を送る上で必要な「コミュニケーション能力」「安定した情緒」を獲得するためには、親の愛情が欠かせないためです。

 

愛情が不足してしまうと考えられる原因はご家庭によって様々で、親との死別、別居、無関心(ネグレクト)、兄弟間の差別などが挙げられます。

 

しかし、ここではとくに原因の追究はせず、愛情の「質」について解説してみたいと思います。

心理学の世界でも、愛情は「量」よりも「質」が大事であるというのが通説であるためです。

 

例えば、親が一方的に良かれと思って子どもに時間をかけて尽くしていたつもりでも、それが子どもにとってあまり嬉しくないものであったとします。

 

そのような子どもは、親とのかかわりにストレスを感じたり、愛情不足から徐々に不満や嫌悪感を募らせていってしまうでしょう。

 

子どもというものは、さかのぼること赤ちゃんの時期より親の愛情から安心や信頼を感じながら愛着を形成するものです。

 

そうして長い時間をかけて自己肯定感(自尊心)自立心コミュニケーション能力などを育んでいきます。

 

もし、親からの愛情が子どもにとって十分なものでなかったとしたら、これらが未熟なまま成長することになってしまいます。

 

とくに、他者とのコミュニケーション能力が未成熟であると、過度に人を警戒するようになったり、逆に馴れ馴れしい態度を取るようになってしまったりします。

 

 

回復するためには

子どもの愛着障害を回復させるために必要なことは、まず子どもに安心できる人(もしくは環境)を作ってあげることです。

 

そこで改めて安心信頼というものを感じながら、人とのかかわり方を学んでもらいます。

 

他にも、親が子どもの愛着障害の原因である場合などは、一時的に親と子の距離を置くなどの措置を取ったりもします。

 

そのようなケースでは、原因となっている親にカウンセリング(心理療法または家族療法など)を受けていただいて親子関係を立ち直らせていきます。

 

まとめになりますが、これまでに説明してきたように、原因がご家庭によって様々であるからこそ、医師や心理士などと話し合って適切な解決策を探す必要があります。

 

愛着障害は子どもが大きくなってしまったら手遅れということはありませんので、事態の改善を思い立ったなら、まずは専門家に相談することから始めてみることをおすすめします。

 

 

※1引用元「LITALICO仕事ナビ」お役立ちガイド一覧 > 愛着障害とは? 

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