皆さん、こんにちは。

今回は「心が病む」ということについて考えていきたいと思います。

体のどこかに傷を負ったり、風邪をひいたりすれば、周りから見てもすぐにその人の不調に気がつけますが、心の病というものは目に見えるものではないため、なかなか気づいてもらえないものです。

当センターを訪れる方たちの多くは、パっと見た感じは五体満足でまったく問題のなさそうな人たちばかりですが、心にたくさんの傷を負っていたり、疲れ果てて何事をも頑張れる気力すらなくなっている方たちばかりです。

そのつらさや苦しみが周囲に理解されないというのは、それだけでも相当な苦痛です。

さらに彼らは、家庭内と外とではまったく立ち振る舞いが変わる場合が多く、赤の他人からすれば、なんら問題のない一般人にしか見えないのです。

ある女性は、外では清楚な外見に加え、背も高く、モデルさんのような立ち振る舞いをしていましたが、ひとたび家に戻れば、暴飲暴食の限りを尽くし、しまいには必ず自らの口に手をつっこみ、食べたものを全て吐き出す(過食嘔吐)行為を繰り返していました。

また、ある男性は外では人当たりがよく、周囲からは「いい人」という強いイメージを持たれていましたが、家に戻ると人が変わったかのように酒を飲み、狂ったように暴れて家族に迷惑をかける毎日を送っていました。

こういった「外」と「内」での表情の変わりようから、家族以外の人間は彼らの心の闇(問題)の部分を知ることはほぼありません。

一方で家族は、日ごろから凄惨な姿を見せつけられ、「どうしてこんな二重人格のような人間になってしまったんだ」と、まったく理解が追いつきません。

しかし、当センターを訪れた彼らは、「心の中には常に不安や恐怖があり、孤独の中に身を置き、ひと時も安らぐ瞬間はなく、周囲はみんな敵にしか見えない」と訴えてきます。

心を病んでしまった方たちの多くは、小さいころから周り(とくに親)に対して機嫌や顔色を伺い、常に自分よりも周りを優先にすることばかりを考えすぎてしまい、「自分自身が何なのかよくわからなくなってしまった」と言います。

そうした生活を続けるうちに、ある日「心」が限界を超えてしまったときに、パーソナリティ障害やうつ病、不安障害(パニック)、強迫神経症などの精神症状(心の病)が発現してしまう傾向にあるようです。

心を病んでしまう人たちは、見方を少し変えれば、本当の意味での「自分自身を探し求めている人間」であり、「正直な自分(ありのままの自分)を誰かに受け止めて、認めてほしいと願う人間」なのだと言えるでしょう。