皆さん、こんにちは。

今回は、引きこもりとパーソナリティ障害の因果関係や回復への糸口について、例を挙げながら解説していきたいと思います。

因果関係

数あるタイプが存在するパーソナリティ障害ですが、そのどれにおいても引きこもりを引き起こす要因をを持っているものです。

それは、パーソナリティ障害の基本症状の一つである「とても傷つきやすい」特性に起因していると言ってもよいでしょう。

傷つくことが怖い。その恐怖を回避しようとして人と関わる状況や場所を避けた結果が「引きこもり」という手段だったのです。

しかし、厳密に言うと引きこもりのベースとなったパーソナリティ障害のタイプによって、その現れ方や、回復のためのステップなども変わってきます。

パーソナリティ障害の引きこもり症状

最も引きこもりにつながりやすいパーソナリティ障害のタイプは、「回避性」「自己愛性」「シゾイド(統合失調質)」と言われています。

そして、長期間にわたって引きこもりが続いてしまうと、激しい自傷行為や家庭内暴力へと発展してしまう危険性があり、放置すると家庭環境はどんどん泥沼化していってしまいます。

引きこもっている当の本人は、まるで出口の見えないトンネルをさまよっているかのような感覚に襲われ、心の中では常に「焦り」「自責」といった感情を抱いています。

ご家族からしても、どう話しかけたり、接したりしていけばよいのかが全くもってわからなくなっていってしまいます。

現に、自傷行為や家庭内暴力を繰り返すまでに至ってしまったご家庭では、引きこもっている当人を、まるで腫れ物を扱うかのような接し方になってしまい、「孤独感」や「自責感」を執拗に植え付けていってしまうのです。

しまいには、決まり文句のように「お前らのせいでこうなった!」「責任を取れ!」と家族に対してぶつかってきます。

仮にこの言葉に対して家族が「ごめんなさい」と謝ったとしても、あまり効果は期待できません。

それどころか逆効果となって、さらに自責感を刺激し、暴言や暴力が過激化する危険すらあります。

最終手段として、警察に通報し、警察官に来てもらったとしても、パーソナリティ障害を持つ人は、スイッチが入ったかのようにコロっと態度を変え、冷静に淡々と警察官と話をするものですから、警察官も、「ご家族内でよく話し合ってください」とアドバイスを残して帰ってしまいます。

回復の望み

もちろん、当センターを利用されている研修生たちの中にも、引きこもりだった方がおり、施設内でも、家庭でやってきたことを再現なさる方がいらっしゃいます。

スタッフに対して強い攻撃性を見せ、暴言を吐いたり、手を上げようとすることさえあります(暴力行為は容認しません)。

そして、それらを私たちスタッフに対して表現したことを「よく出せたね」と、必ず賞賛するようにしています。

落ち着いてきたら、この後どうしたらよいのかについて一緒に反省会を開きます。

このように、周囲の人間が当事者のパニックにも似た発作を冷静に受け止めるようになると、その行動自体の必要性がなくなってくるため、頻度は徐々に減ってきます。

そのうち、自分の気持ちを「行動」ではなく、「言葉」でしっかりと表現できるようになり、感情が高まりそうになると、自然とブレーキが働くようにもなってきます。

最後に、現在進行形で引きこもりに苦しんでいるご家庭全てにメッセージを送ります。

解決の糸口が見えないような絶望的な状況だったとしても、希望を捨てないでください。

同じ苦しみで悩んでいる方が、こうして回復に向けて少しずつ前進されているという事実もまた、皆さんの希望となると信じています。

家族の手に負えない時は、私たちのような専門機関を頼るようにしてみてください。

そして、どんな時も希望を捨てずに諦めない心を持つようにしてみてください。