皆さん、こんにちは。

シリーズブログの第二部「同じ悩みを持つ母親たちがここにいる~There’re mothers just like you~」最終回になります。

今回は、パーソナリティ障害を抱えた家族の問題行動の中でも、「家庭内暴力」がエスカレートしてしまうと危険だということを、具体例を織り交ぜながら解説して参ります。

長期化すると危険

家庭内暴力というものは、長期化すればするほど悪質化していき、手の付けられないものとなってしまいます。

具体的には、最初のうちは家の中の壁や家具を壊す程度だったものが、親に手をあげるようになり、親を支配したり奴隷のように扱っていってしまうのです。

また、長期化することで苛立ちの高まりと共にエスカレートしていくのですが、徐々に暴力では何も変わらないことに気づき始めると、被害妄想や他責感情が増幅してさらなる負のスパイラルへと突入していきます。

暴力が多様化してくる

暴力が長期化してしまう原因の一つに「最初に振るった暴力行為自体が基準となり、以降はさほど抵抗感や罪悪感なく暴力が振るえてしまう」といった点があります。

そして、暴力も単なる身体的暴力から精神的暴力(心への暴力)へと移行していきます。

精神的な暴力とは、例えば「子どもがわざと母親の大切なものを壊す」などの嫌がらせを続けたりすることです。

時には「殺してやる!」などと脅したりして追いつめてくるのですが、母親は「いつか我が子も気がついて元の優しい子に戻ってくれるはず」と淡い期待を持って耐え忍んでしまいます。

他にも「親としての親戚付き合いなどを全て絶たれて一層孤立化してしまう」ようなケースも少なくありません。

“変わって欲しい”という期待の落とし穴

パーソナリティ障害を抱えたご家族を見ていると、母親も子どももお互いに「相手に変わって欲しい」という思いを強く抱いているように思われます。

相手に求めるばかりで自分が変わる努力をせず、状況は変わることがないという苦しいトンネルから抜け出せないかのような状態です。

臨床事例の中で、逆に暴力を振るう子どもに対して負けじと激しく責め立てるような母親もいます。

このようなご家族のケースの方が早く解決に至ると思われるかもしれませんが、結果的には非常に困難となってしまう場合がほとんどなので、逆効果と言えます。

また、家を飛び出してしまうような親御さんもいますが、あくまでもそれはその場しのぎの一時的な対処法でしかなく、同じく解決には至りません。

他にも、これ以上子どもを家に置いておけないからと子どもをアパートに住まわせてみるケースもありますが、ほぼ3か月以内に再び家に戻って来てしまうことが多いようです。

そして、戻ってきた我が子により再び親への暴力が始まり、エスカレートした挙句にどうにもならなくなった親御さんは子どもを病院へ連れて行こうとしますが、そんな親の対応に子どもは納得するはずもなく、親に対して「病人はお前たちの方だ!」と訴え始めるようになります。

結論から言いますと、全てのケースに言えることは「長期化してしまう前に専門家に相談するなどして対処することを決断していただくこと」だと思います。

自分たちだけでどうにかしようとせずに私たちのような専門家を頼っていただけたなら、問題が長期化する前に解決へと進めることが可能ですので、どうか希望を捨てずにご決断くださることを願っています。