皆さん、こんにちは。

佐藤矢市先生の「パーソナリティ障害の回復には決断と見守る連携が必要」シリーズ第19回目となります。

当センターには、毎日のように「どうしたらいいのか分からない・・・」と訴えるご家族からのお問い合わせが寄せられています。

そんなご家族に向けて、矢市先生から心よりのメッセージをお届けします。

諦めない心

まず、私の所にお問い合わせを頂いたご家族の共通点を挙げるとするならば、「全員が疲労困憊している」という点です。

家族内で精一杯努力し、これまで頑張って来られたわけですが、その努力とは反比例するかのように状況は改善されず、閉塞感の中で一筋の光も見えないような暗い毎日を送っているようなのです。

そして親御さんの多くは、自分たちの子育てに対する反省を繰り返し、自分たち亡き後、我が子はどうなってしまうのかという不安を抱えています。

実際、相談にお越しになる親御さんの多くは、「今は何とか自分たちが我が子の盾になってカバーしてあげているが、将来私たちが居なくなった後はどうなってしまうのかという不安と怖さで、毎朝目が覚めると地獄に居るような日々だ」と語られていました。

私は20年以上もの間、日本におけるパーソナリティ障害専門機関の増加を願い、広報活動なども行って参りましたが、精神科医の先生や、同じ畑の臨床心理士の先生方からは、「大変ですね。頑張ってください」と、どこか他人事のような一言で終わってしまうことがほとんどでした。

私は自分の体力の続く間は、余生を臨床現場に捧げ、パーソナリティ障害者の家族と共に歩んでいく覚悟でいますが、未だにこの大変な領域に一肌脱いでやろうという医師や専門家たちが見当たらないことについて大変残念に思います。

私自身、年齢も70歳となりましたが、幸いなことに多くの協力者たちのお陰で、パーソナリティ障害という専門領域に身を捧げることができています。

特に、亡き実父がパーソナリティ障害であった経験から、どれほど家族が困り、大変な想いを抱いているかについては多大な理解を持ち合わせています。

この20年以上もの間に支援を終了し、多くの子どもたち(OB&OG研修生)が社会に巣立って行かれました。

その彼らの一言で、私自身も何度となく元気をもらいました。

これまでに関わってきた全ての皆様には感謝してもしきれません。

そしてどうかご家族の皆様、輝く原石のような素晴らしい才能と将来を秘めている子供たちを諦めないであげてください。

例え今は問題行動を繰り返し、家族を振り回しているパーソナリティ障害者だとしても、未来が閉ざされているわけでは決してありません。

私どもは微力ながらも皆様を見守り、お手伝いできる日を心待ちにしております。

共に歩んで行けるチャンスがあるのであればぜひご検討ください。