他の精神疾患も抱えている?パーソナリティ障害の実態とは

これまでの多くの臨床研究から、パーソナリティ障害は他の精神障害と並存しやすいことがわかってきています。

例えば、アメリカの国立精神保健研究所との共同研究では(Collaborative Longitudinal Personality Study;CLPS;2012)、うつ病」「不安障害」「物質関連障害(アルコール、危険ドラッグ、覚せい剤など)の精神障害が、パーソナリティ障害から発生しやすいことを明らかにしています。

このことは、パーソナリティ障害者が、単にそれ自体のつらさ(生きづらさ)のみならず、他の精神障害にも苦しんでいる実態を私たちに気づかせてくれるものです。

それだけではなく、パーソナリティ障害の改善が他の精神疾患の改善すらも予測する可能性があることを示唆しているかもしれません。

パーソナリティ障害の改善が他の精神障害の改善を予測する?!

ある別の研究では(ガンダーソン,2004)、境界性パーソナリティ障害の改善は、うつ病の改善を予測するが、うつ病の改善はパーソナリティ障害の改善を予測しないことを報告しています。

特定の研究報告だけでは断言できませんが、こうしたデータは、実際の私どもの臨床経験とも合致しており、当センター利用者のほとんどが「複数の精神症状、問題行動」を抱える実態と整合します(平均併発数は4つ以上)。

もし、他の精神障害がパーソナリティ障害の影響を受けて「発生&持続する流れ」があるとするなら、うつや不安症状の慢性化が、実は、パーソナリティ障害の影響によるものと解すことができるのかもしれません(もちろんその全てかどうかは不明ですし、逆の流れもあるでしょう)。

いずれにしても、パーソナリティ障害の早期発見と早期治療・ケアには、いろんな方面の利点(改善力)を期待できると言えるでしょう!

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