皆さん、こんにちは。日毎に寒さを感じる季節となって参りましたが、パーソナリティ障害支援センターの研修生達は今日も自分と向き合いながら日々を過ごしています。

我々スタッフはサポートという立場上、身近で研修生達を見守り、その成長に触れて共に様々な経験を積ませて頂いております。

 今回は、本人の許可も頂き、ここ数か月で見違えるように成長を遂げている研修生に焦点を当てて、一つのテーマをご紹介させて頂きます。それは「自信」についてです。

 

自信が持てない! 

多くの研修生達が口をそろえて言う事の一つに「自信がない」というものがあります。

これは恐らく、世の中の多くの人たちが抱えているテーマでもあるかと思います。

数か月前に入所されたA君もまた、当時は頻繁に「自信が持てない」と呟いていました。

彼の言う「自信が持てない」とは「人が信用できない。好かれている自信がない」という内容でしたが、これは後に「自分に自信がない」故の不安であるという事が判明しました。

 

成長?変化?きっかけをつかむ

彼は不慣れな環境という事もありましたが、当時はまだカウンセリングや各種セラピーを活用できるほど余裕がありませんでした。

そんな中、出来る事といえば同じ研修生同士の雑談めいた話し合いやスタッフとの日常会話くらいでした。

しかし、時が経つと誰かの口利きからか、セラピーなどにも徐々に顏を出すようになり、みんなと一緒に体を動かす機会も増えてきました。

次第に何人かの研修生達とも打ち解け始め、人と会話する姿もよく見かけるようになりました。

ですが、必ずしも順調という事はありませんでした。
周囲とトラブルになってしまう事もありましたし、発作が起こってしまう事だってありました。
不安と日常の間に揺られながらも彼は毎日を過ごしてきました。

そんな中、彼に変化が見え始めました。

きっかけは多々あったのかもしれませんが、彼は積極的に物事に取り組むようになってきたのです。
そこからの彼の成長には目を見張るものがあり、周囲を驚かせることも少なくありませんでした。

自ら進んでセラピーに参加し、カウンセリングを利用し、果ては地域のイベント行事にも興味を持ち、率先して参加するようになりました。

 

現在の彼の姿

彼と仲の良い研修生も増え、元々好きだったスポーツで体を動かしながら楽しそうにしている瞬間もよく見かけるようになり、スタッフとしてこんなに嬉しい事はありません。

彼とお話しする中で、彼の中でどういった変化が起きたのかが垣間見えた気がします。

彼の言葉を借りるなら「失敗してもいいと言われた。やらないで後悔するより、やってから後悔したいと思うようになった。そうすると同じ要領でなんでもこなせた。」

不思議と彼がよく呟いていた「自信がない」をもうしばらく聞いてない気がします。

 ふと彼に「自信がついたんじゃない?」と尋ねると、照れたように「まだまだ自信ないですよ」と返ってきましたが、その時のとてもよい表情が印象的だったのを記憶しています。

 

 「自信」とは何なのか?

まとめになりますが、彼の変化を振り返ってみて感じるのは、「自信」とは最初からあるものではなく、何かを成し遂げ、経験を積み、いろんな人と関わりながら自然に育まれるもののひとつではないかと考察します。

どんな小さな事でも、最後までやりきれば「達成感」が湧き、それは「充実感」に繋がり、同時に周囲からの「評価」にも繋がります。

人に認められたり褒められたりする中でぼんやりと自分の能力や価値といったものを自覚し始めるようになり、最終的にそれらは「自信」へと昇華していくのではないでしょうか。

 

皆さんへのメッセージ

成し遂げた事の内容や結果の是非は、さほど重要ではない気がします。

むしろ、失敗したほうが学べることも多いものです。

もちろん簡単な事ではないかもしれません。

ですが、パーソナリティ障害支援センターでは気持ちに寄り添ってくれるスタッフがおり、また同じ悩みや苦しみを抱える仲間が生活を共にし、時にはエールを送ってくれます。

そこから得るかけがえのない「安心感」は、何かを成し遂げ、前に進もうとする原動力となるはずです。

その先には、きっと次の事を理解できる日が来るはずです。

自分のみなぎる自信を自覚した瞬間、「無駄な事などなかった」という事に。