皆さん、こんにちは。
パーソナリティ障害の方達の多くは、過去の出来事を鮮明に覚えていて、感情もその当時のままに沸き起こってくる方がいます。「過去の出来事」が過去として処理されていないということですね。

パーソナリティ障害の心理ケアでは、行動面、生活面の改善と共に、もう一つ重要なポイントとなるのが、過去と現在をつなぎ直し、人生を再統合するという作業です。

そして、そのカギを握っているのは「親子関係の問題」なのです。

以前の投稿でも取り上げましたが、パーソナリティ障害の方は必ずと言っていいほど「親子関係」でつまづいています。そこにこそ問題の大きな根っこが隠れています。

行動面や対人関係の問題にしても、実は歪んだ親子関係のなかで身につけた偏りであるということが多くみられます。

これは親子関係にまで戻って自分を再点検することで、さらに本格的な変化が起こりやすくなってくるのです。

過去の体験を十分に語ること

それでは、どうすればいいかという話になりますが、まず、親子関係を中心とした過去の体験が十分に語られることが必要です。

バラバラになっていた体験が少しずつつなぎ合わさり、自分の物語が出来上がっていきます。

多くの場合が、最初は苦労の連続で、救いのない苦難の物語で、傷つけられたことばかりが思い出されます。

しかし、そうしたマイナスの体験を何度も何度も語り、表現しつくすと、逆転が起きていきます。

それは、つらかった体験ばかりではなく、つらかった体験の中にもプラスの体験があるということに気が付き、その体験を少しずつ語れるようになってくるのです。

ここまでくると、ただ否定されていた過去は、現在につながる歴史として受け入れられるようになります

そして、自分の人生に統合されていくのです。

そうした転回の中で、その人は自分の人生に新たな意味を見つけ出していくことが出来るようになっていきます。

時には、諦めも必要

しかし、語りや表現だけではこうした転回は起こりにくいと言えます。親か家族や、その人にとって大切な人との関係が同時に変化することが大切なポイントとなります。

周囲が本人を否定せずに、ある程度受け止められるようになるかどうかが、カギになってくるのです。

多くの場合、家族や親、配偶者も傷つき、疲弊しきっている場合が少なくないので、なかなか受け入れられないことも多いのが現実です。したがって、ご家族への働きかけやサポートが必要不可欠になります。

しかし、ご家族や周囲への働きかけやサポートを行ったとしても、なかなか変化を期待できないケースもあります(問題が長期化している場合等では、こちらのケースの方が多いです)。

その場合には、本人の中で「仕方がない」と諦めをつけることが必要になりますが、この「諦める」という作業は、大変難しく、一人ではできるものではありません。必ず専門家と一緒に取り組む必要があるのです。

いずれにしても、親子関係の問題にきちんと焦点を当てて扱うことが、回復プロセスには大切です。

この部分を素通りして上辺の行動や症状だけを改善しようとしても、また同じことの繰り返しに戻ってしまうのです。