ec75bfa8569d6a3e7abe922ada9a35fe_s皆さん、こんにちは。
当センターでは、過去10年間の臨床データ(計166ケース)に基づく問題行動パターンを統計学的に処理(相関分析)しました。

その結果によって、様々な問題行動の背景には「被害妄想」が合併していることを、臨床心理士であり精神保健福祉士でもある佐藤友哉氏が解明しました。

現在も、より多くの臨床事例を検討中で、今後における論文発表なども楽しみにしています。

さて、本題の「被害妄想が、なぜ芽生えてくるのか?」について、標準的パターンを示したいと思います。

良い子を演じた学生時代

bab96f91608f7af78b8c0872f3891f0d_s当センターにおける入所者(研修生)の共通点は、幼少期や学童期において、学業やスポーツなど、比較的優秀であったというケースです。また、彼らの保護者は、「子育てがしやすく、とても良い子だった」と捉えていることが多いようです。

そんな彼らが思春期に入り、突然親への反抗的な態度が表れ始め、親を執拗に攻めたり、時には暴言や暴力、自殺未遂などを繰り返し、親を振り回していくことがあります。

親御さんは「あんなに良い子だったのに、一体何が起きてしまったんだろう?」と疑問に思い始めていくのです。
では、実際に彼らには何が起こっているのでしょうか?

私は日々の心理臨床の中で、研修生の本音や心の叫びを聞かせてもらっています。

実は、彼らは親に対し、本当は「甘えたい。認められたい」と感じています。
これを「承認欲求」と呼びますが、彼らの中にはは、幼少期や学童期において、この承認欲求を素直に表現できなかった、させてもらえなかったという方が大勢います。

6d2ceceab7cab5ffa09a2b262fe5cba8_s簡単に言えば、我慢しなければいけない状況に置かれていたということですね。

「良い子」であることを周囲から期待され、その役割を演じ続けなければいけなかったケースなどでは、弱音や本音は言えません

なぜなら、弱音や本音を言ったら、自分が親や周囲に「見捨てられる」と思うからです(☚これは『条件付きの愛』で縛り上げられたときに抱く感情の一つです)。

自分がわからない・・・どこかウソくさい

3231f68395b56cd95d0e73ec3b6e9d31_sこういう子は、我慢することが当然であり、自然なことになっているので、自分が我慢しているという自覚はありません。

ただ、漠然とした不安や恐怖を抱いていることが多く、いつも「自分がわからない。自分がどこかウソ臭い」という感覚を持っています。

常に周囲の評価や顔色が気になり、自分で何かを決めたり、責任をもって何かに取り組むことが怖くなります。当然、失敗を犯すことが怖くなるので、最初から何もやろうとしないことも珍しくありません。

これを自我機能の一部では「自律性」と呼びますが、これが育っていない精神状態と被害妄想には密接な関係があるのです。

例えば、自律性が育っていないと、物事の決定権を常に親や周囲にゆだねていきます。そうすると何か物事がうまくいかなかったり、思うようにならなかった場合、自分が決めたわけではないので、「他人や周囲のせい」にできますね。俗にいう、「責任転換」というものです。

ca7566e9924c152382b7182e5fc3d581_s責任転換の心理には、「自分は悪くない(悪いのは親や周囲!)」という自己防衛の心理が隠れています。

この心理状態が長期間続くと、徐々に「自分は被害者だ!こんなに努力しているのに、こんなに大変な思いをしているのに誰も認めてくれない。」という被害者意識が強まり、物事を自分の都合の良い風にねじ曲げ、あたかも「周囲が自分をおとしてめてくる」というような被害妄想的発想が芽生えていくことになるのです。

次回は、『被害妄想と引きこもり』の関係について解説していきます。