f157251c72cafb1542af36151665e17b_s今回は、強い思い込みと完璧主義を持っていた当時20代の強迫性パーソナリティ障害男性の体験談を紹介していきたいと思います。

私が彼に出会った当初は、将来への不安が強すぎて、まさにお先真っ暗という状態で、「もう死にたい・・・」が口癖でした。

彼は、高校、大学と超エリートコースを歩み、社会人としての将来も期待されていました。しかし、外資系金融機関に入社した途端に不適応を起こしてしまいました。

そんな彼の回復プロセスを過去から現在にわたり見ていきたいと思います。

回復への歩み

29e4249217ed0aca74e7e081b73ab9b4_s私と出会った当初の彼は、「」の自分を全く考えることが出来ず、先のこと、将来のことばかり考えていました

無職であったことからも、頭の中は、「次はどんな仕事に就こうか・・・今から専門的知識をつけるために学校に行った方がいいのか・・」など常に「何かをしなければいけない」という不安でいっぱいでした。

当時の彼は、「人生やり直しがきかない。○○卒だったら、こういう生き方をしなければいけない」という思い込みが強く、そのイメージにそぐわない自分を激しく責めていました

彼の中で、「○○歳は再就職において最低ライン」と自分で決めつけ、もう社会復帰ができないという絶望感と不安感、後悔の念だけでした。

こういう時は、あまり会話にならないことが多く、毎日毎日同じ話を繰り返していました。

そんな彼が、ある体験をキッカケに、少しずつ変わり始めるようになりました。

9824f85bb55f387b28bfdb8ae18a1342_sやはりここでも人との「つながり」がそのキッカケづくりを与えてくれました。

自らの努力で築きあげた地位からズルズルと落ちてしまい絶望のどん底を体験していた同じ境遇の研修生(女性)との出会いがありました。

彼は、彼女を見た時に、「あっ、この人俺よりヤバい感じだ」と思ったそうですが、彼女も彼を見た時に、「あっ、この人私よりもヤバいな」と感じたそうです。

同じ苦しさを抱える者同士が色々と語り合う中で、お互いを通して客観的に自分自身を見つめることが出来るようになってきました。

また、自分の経験が人の役に立っている(少なくとも話し相手になれた)と思えるようになってきたことで、少しずつ過去の経験を受け入れられるようになってきました。

ここまで来ると、だいぶ視野も広がってきているので、他の研修生と話をしている時でも、「あ~この人は強い固定観念を持っているな~。かなり生きづらいだろうな~」と客観的に自分の経験と照らし合わせながら状況を分析できるようになります。

彼からの言葉

e90dcaea31a56f39cad38ce25a7f75b0_sセンタープログラム修了時の彼は、「○○大学を卒業後に、外資系金融機関に勤務したことは、それはそれでいい経験をした。むしろ誇りに思っているし、後悔はしていない。あの経験がなかったら、自分の悩みに出会えなかったし、センターで出会った人達の相談にものることはできなかった」と過去の自分を受け入れることができていました。

私から見ていても、当時の彼は徹底的に過去に執着していました。周りが何を言っても、過去から離れることはせず、過去にとどまり続けていました。ある意味では、あれほど過去に執着できるのは一つの能力だと思います。

だからこそ、彼は本当の意味で開き直ることが出来たんだと思います。

昔の彼からは想像もつきませんが、彼はこんなことも言っていました。

「過去に執着して後悔していても何も始まらない。だったら、今何をすればいいのか!現実問題、お金を稼がねば生きていけないし、むしろ、こだわり続けて、お金を稼いでいないことの方が恥ずかしいし、バカバカしいと思える。学歴はあるが、仕事に対しては、経験もゼロだから、上手くできない方が自然だと思える。まずは、仕事に行くことからはじめてみよう。できることなら自分のイメージした道に進めればいいと思っているが、一歩ずつあがっていければいい昔は一気に理想に近づこうとしていた

c92414f1fa64e0cc3482cf8baa646d2e_sこれまでに、私やスタッフが耳にタコができるぐらい彼には、「今を考えるようにしなさい!」と伝えていましたが、あまり効果がありませんでした。

やはり、自分で気づくこと、本当に苦しんで悩んだ末に自分の力で解決策を導き出すことの重要性を彼から学ばせてもったように感じます。

現在の彼は、強迫的な一面は残っていますが、自分で自覚していてうまくコントロールできているようです。○○県の製造会社にて主任を任され活躍しているとのことです。