36f0885cfc92b2d8abf1073f229c0047_s私は、30年以上前より、パーソナリティ障害を専門領域として臨床研究を続けていますが、当初と比べてみても面接場面で完璧性の強いクライアントさんが実に多く存在していることに気づいていました。

子ども達が抱えている心理の共通点は、親に対して「もう嫌だ・・・もう無理だ」という正直な気持ちを伝えられなかった点です。

彼らは親の期待を無意識のうちに読み取り、その期待から外れないように一生懸命努力を重ねていきます。

子どもにとっては、親の期待から外れることは「ダメな子ども」としての刻印を張られ、子どもにとってはまさに死活問題なのです。

完璧主義の落とし穴

b961efe67d8936cc25ec17a3becaa11d_s知らず知らずのうちに、子どもの心の中には「完璧な自分でいなければいけない」という自己像(理想像)が作り上げられ、そこから外れること、つまり周囲から非難されることや批判されること、恥をかくこと、自分に価値がないことに直面することが怖くなります。

要は、自分が価値のない存在であるなんて絶対に、死んでも思いたくないので、完璧であろうとするのです。

完璧主義者の大半は行動できない人なのです。

完璧主義だからこそ、完璧がかなわないために行動できないのです。

完璧にできないんだったら、最初からやらない!」と今まで取り組んでいたものを放り投げて、突然何もしなくなってしまう人もいます。

ca7566e9924c152382b7182e5fc3d581_sそして内心では、行動できない自分を責めてはいますが、それを続けていると完璧ではない自分と直面し続けなければいけないので、周囲に責任転換を図っていきます

完璧にできないのは、周りが悪い・・・」というふうにです。

ですから、完璧主義者は、自分にも他人にも理想が高く、二極化思考が強いのです。

この結果、青年期に入ってくると、より強く完璧発想が作り上げられ、摂食障害や万引き常習(クレプトマニア)、リストカット、OD(大量服薬)、風俗、アルコール依存、買物依存、ネット依存、覚醒剤依存、自殺未遂、解離性障害、パニック障害、被害妄想、対人恐怖、自閉症スペクトラム障害、心因性不調などが病状として表れてくるのです。

病気としての辛さが続く中で、激しい敵意衝動性が表れてくると、パーソナリティ障害としての領域が広まってくるのです。

プライドが邪魔をして弱みを出せない

b930922c08535e97cba899ac9c7fe6be_s面接における子どもたちの代表的な訴えには、他人(家族含む)に対して、「突然攻撃したくなる。周りはまったく理解していないので、わからせたくなる。バカにされたくない。裏切られたくない。利用されたくない・・・」などがあります。

同時に、自分自身に対して「私は悪くない。悪いのは皆だ。逃げているのは私ではなく皆だ!今まで悪者にされ続けてきた。犠牲者にされ続けてきた・・・。一時も休めないように教育されてきた・・・いつも怒られてきた・・・何かやろうとしても否定されてきた。私ほど苦労した人はいない。我慢した人はいない。努力した人はいない・・・」などと訴えます。

親の前では、いつも緊張しながら、親のご機嫌を取り、顔色を伺い、けなげな努力を繰り返し、その苦しさを少しでも理解してほしいと切望しています。

完璧主義もうまく機能している時には、他から見ると優れた向上心や前向きな人間に映っているのですが、周囲に対する期待値の高さから我慢の連続が続くと、徐々に自我が弱り始め、葛藤に直面できず、悩み、苦しみ始めるのです。

9fe51c3afbdf53d82011047f3b71ed16_sこういった悩みや苦しみを、親以外の友人や親友たち(横のつながり)に相談できたり、愚痴を言い合えればいいんですが、プライドが高い完璧主義者は自分の弱みを出せないので、その過程を味わうことができません。

結果的にすべて自分の心の中に抱え込まなければいけなくなり、そのキャパが限界に達すると、様々な異変が起こり始め、ついには薬が届きにくいと言われるパーソナリティ障害の世界に突入していくのです。