c63703cca70c0129996b57f7887e7461_s先日、ある卒業生から手紙が届きましたので、その内容を一部ご紹介したいと思います。
手紙を送ってくれた卒業生は、8年以上も前に、当センターに研修生としてやってきた、当時20代前半の境界性パーソナリティ障害の女性です。

 

彼女は、リストカットやODなどの自傷行為の常習犯で、センターにたどり着くまでに、幾度となく入退院を繰り返していました。

 

その多くが、異性関係の破たんが原因で、感情が突然抑えきれなくなり、様々な自傷行為に走っていました。

 

家族が住む実家に戻ってきては、母親へ一方的に怒りをぶつけ、「自分がこんな人生を歩まなければいけなくなったのは、お前たちのせいだ!何とかしろ!」と原因を全て母親に押し付けていました。

 

母親は娘と、一家心中も考えていたようです。何もかも崖っぷちだった母親が、わらにもすがる思いで、当センターを探し出して来られました。

 

彼女をお預かりし、いざセンターでの生活が始まると、境界性パーソナリティ障害特有の、見捨てられ不安や激し衝動性が顕著に表れるようになってきました。

 

彼女が本当の意味で落ち着き、安心して過ごせるようになったのは、入所から半年が経過した頃でした。

 

それまでは、私を含めスタッフ一同、本気で彼女と向き合い、幾度となく、じっくりと話し合いました。裏切られることも多々ありました。

 

それでも、私たちは、彼女の力を信じ続けたことが、彼女にとっての安心感につながったのかもしれません。そう信じたいものです。

 

そんな懐かしい彼女からの手紙を一部ご紹介します。

 

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お元気ですか。寒い日と暖かい日が交互にやってきて大変ですね。

 

人格障害研究センターでは、今どんなお花が咲いているんでしょう?センターの裏山の緑がとても恋しく感じる今日のこの頃です。

 

あれだけ一人でいることが耐えられなかった私ですが、独り暮らしにもだいぶ慣れてきて、元気に過ごしています。

 

数か月前から、一応正社員として、小さな文房具店で働かせてもらっています。

 

キャバクラや風俗時代の給料に比べれば、たいしたことありませんが、接客していてお客様と会話が弾むととてもうれしいです。幸せって、こんな小さく些細なものだったなんて今までは気づきもしませんでした。

 

なんだか毎日、自分の能力の限界を超えて頑張っている気がして、正直、この先不安です(笑)。もつかな~?

 

正社員として働き始めた当初、職場環境とシフトに不満があって辞めちゃおうかな~と迷った時がありましたが、矢市先生の「あなたの人生はあなたが決めるんだよ」という言葉を思い出して、「もう少しだけ続けてみよう」と決断することができて、気づいたら今に至っています。

 

女性の店長がとても信頼・尊敬できる人で、辞めなくてよかったと思っています。昔だったら、すぐに辞めてましたけどね。へへ。

 

男性じゃなくて、女性の友達もできましたよ。また今度遊びに行きます!

 

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という手紙の内容でした。

 

実は、嬉しい報告は他にもあり、今年の6月に晴れて入籍されるとのことです。

 

センターに入所中、彼女のパワーにこちら側が押し切られそうになったこともありました。こちらを信頼してもらえない時期は、何度と自傷行為を繰り返していました。

 

今となっては、それだけ精神的エネルギーがあったということなのかもしれません。

 

私は、パーソナリティ障害者は、安心感と信頼感を抱くことさえできれば、彼らの持っているエネルギーを適切な健全な方向へ費やすことができ、自分なりの人生を歩みだすことができると信じています。