f8b7d19d249b0afdf22bc5a1e479da0f_s皆さん、こんにちは。
今回は、万引きと摂食障害を併存している境界性パーソナリティ障害 Aさん(30歳代女性:既婚:子ども一人)の心理をのぞいてみましょう。Aさんの個人情報は本人が特定できないように一部修正してあります。

破壊的な感情の裏にあるもの 境界性パーソナリティ障害

3231f68395b56cd95d0e73ec3b6e9d31_sAさんは、親に対して激しい憎しみと恨みを抱えていました。

しかし、もう一方ではそんな風に思ってしまう自分を受け入れられず常に葛藤しながら、気が付くと両親に手を上げては、そんな自分を反省するということの繰り返しでした。

親を攻撃しないようにすればするほど、自分の心の中に、言葉にならない感情が溜まってしまい、自分が壊れていったと言います。

Aさんは、私との面接場面で、「もうこれ以上自分を責め続けていくわけにはいかない・・・彼らは私にとっての親であり、今まで世話になったこともたくさんあった。それを分かっていたから、私はここまで自分を追い詰めて、我慢し続けてきた。親の笑顔を見たかっただけ・・・でも、もうこれ以上は心も体も持たない」と涙ながらに訴えたのでした。

Aさんの父親は家族のゴタゴタから酒へと逃れ、母親はAさんを愚痴のはけ口として、『母子密着カプセル化』をはかっていったのです。

002c2d664bff9d97b1f64615db410fc5_s完璧主義と強迫性が身についてしまったAさんの行動は、いつの間にか攻撃性の強い人間になり、彼女の心の中には、他者への恨みや妬み、そして強い怒りや敵意を抱くようになっていったのです。

そして、物・周囲との人間関係、全てを壊そうとしてしまったのです。

結果的に孤独で、全ての人に対して強い恐怖心と見捨てられ不安を抱き、本当の自分を見せないように演じることが多くなっていきました。

これを「偽りの自己」と言いますが、この偽りの自分こそが攻撃性のある人間だったのです。

私のもとへ訪れた時には、もう自分も他人も信じられなくなり、最後はお金や物しか残っていない状態になっていたのです。

c3729386f4ffb152cbe0f5e331180cd7_s当然、残されたお金や物に執着していくので、それらが少なくなっていくと激しいパニックをおこし、周囲を責めたてていきます(お金や物が愛情だという歪んだ思い込みがありました)。

「もう現実から逃げたいけど、どうしたら楽になれるのか」、「無」になれるのかと無我夢中で捜し求めた結果、一時的にたどり着いた方法が、過食と万引き、自傷行為、家庭内暴力だったのです。

そして、徐々にそれらの行動の深みにはまっていったのです。

愛と憎しみは表裏一体

c92414f1fa64e0cc3482cf8baa646d2e_sAさんのように、親に対して、激しい愛情欲求強い憎しみを抱き葛藤している方々の中には、パーソナリティ障害を発症しているケースも少なくありません。

その後、Aさんはどうなったかというと、当センターでの生活を通して、数々の激しい攻撃性を表した時期もありましたが、時間の経過とともに、親との関係性を冷静にかつ客観的に振り返ることができるようになっていったのです。

これだけエネルギッシュな一面を持っていたAさんは、そのエネルギーを仕事という適切な方向へ発散(昇華)出来るようになり、また強迫的な傾向を生かし会計事務所へ就職することができたのです。

完璧主義が健全な方向に生かされたケースです。

現在Aさんの勤める会計事務所では、計算の正確さやスピードはAさんの右に出るものはいないと言います。