93d6913da963d3f66cf705fb653660d0_sパーソナリティ障害を抱える家族には、高い確率で共依存関係がみられます。その多くが様々な問題を起こす子どもと母親の関係に見られますが、夫婦どちらかがパーソナリティ障害者の場合にも共依存関係がみられます。

しかし、本人たちには、自分たちが共依存関係にあることに気づいていないことが多く、知らぬ間にお互いがお互いを必要としているという関係が出来上がっていきます。

他者をコントロールしていく共依存

では、共依存とは一体どういう関係のことを言うのでしょうか。

共依存の核には他者コントロールの欲求があります。

人に自分を頼らせることで相手をコントロールしようとする人と、人に頼ることでその人をコントロールしようとする人との間に成立するような二者関係を共依存と呼びます。

こうした関係の中の二人は互いに相手をむさぼりつくすので、「憎しみながら離れられない」とか「軽蔑しながらいないと寂しい」といった愛憎劇が彼らの間に展開しています。

共依存者は自己評価が低いので、本来の自分の判断を否定したり、隠してしまうことがあります。

a93351bbe9b27b6406515a7054f5e2d2_s暴力を振るう夫の緊張をはらんだ関係に耐えている女性たちは、自分の居心地の悪さなどの感情に目を向けようとしません。人間本来備わっている「感じる」という能力を忘れてしまっている人も少なくありません。

最近多くなってきた彼氏や彼女間でのDVも、ふたを開けてみると共依存関係ということも珍しくありません。

彼氏から、どんなにひどい暴力や仕打ちを受けたとしても、彼女たちの多くは、彼氏の元へ戻っていきます。

普通に考えれば、どうしてそんな危険な相手にわざわざ自分から近づいていくの?と思うかもしれませんが、何かに引き寄せられるように暴力彼氏に近づいていきます。

そしてその理由を聞くと、「いないと寂しい・・・彼には私が必要」というわけです。

この二者関係では、女性が世話を焼く大人、男性が世話を焼かれる子どもというような支配する者と支配される者という関係性が出来上がっています。

男性の中には、爆発的な暴力が始まると自分でコントロールすることが不可能になるという方がいますが、これも子ども返りの一種です。

この種の暴力男性もいつも暴れまわっているとわけではありません。しかし、彼らが自分を抑制し、静かにしているときこそ、暴力の欲求が蓄えられているときなのです。

彼らの多くには、自己愛性パーソナリティ障害を持っている場合が多く、とても傷つきやすい一面をかかえています。

男らしくない」という言葉は当然タブーになります。

癒しを期待されている女性の方は男性の緊張の高まりを察し、彼のご機嫌を取ってなだめます。これが一時的にうまくいくと、女性は男性をコントロールする自分の能力に自信を持ちます。しかし、それはいつしか破綻して、再び男性の暴力が爆発するという事態がやってきます。

7983970d28e6359d2cf2884fe4825dc6_s男性は男性で、発散した後に、自らの行為を悔い、女性に許しを求め、「俺から離れないでくれ」としがみつきます。暴力で傷ついた女性の体をいたわり、贈り物をして、「もう二度と暴力はふるわない」という誓いを述べます。

暴力を振るっていた時の男性とはまるで別人のようにふるまうわけです。すると女性の心には「この人は自分の存在なしでは生きられない。かわいそうな人だ」という気持ちが芽生えてきます。

私が守ってあげなくちゃ!

この「自分がいないとこの人は生きていけない。かわいそうな人だ」という気持ちこそが共依存の特徴です。こういったことを長年繰り返している彼氏や彼女、夫婦関係は決して珍しくはありません。

ここまでの話は、男女の関係でしたが、これは、問題行動を繰り返す息子や娘と親(特に母親)との関係でも同じことが言えます。

次回は、共依存者特有の傾向でもある「自他の区別の曖昧さ」について取り上げて紹介していきたいと思います。この傾向は、パーソナリティ障害の基本症状でも取り上げましたが、まさに同じような特徴と言えるでしょう。