6cc8d685c2ff7a3f5a41479636322bd7_s私は、臨床現場で、多くのパーソナリティ障害者を抱えるご家族から、「どうしてこのような子どもになってしまったのか?生育歴や母子関係に問題があったのか知りたい・・・」などとしばしば質問をされます。

親の立場で反省もあるでしょうが、今彼らにとって必要なこと、考えなければならないことは、「因果論」ではありません。

どういう原因があって、こういう結果になったのか?」という発想は、現代の科学的な発想だと思いますが、人間の心を考えるときに、この「因果論」ではうまくいかないんです

犯人探しは何の解決にもならない

9fe51c3afbdf53d82011047f3b71ed16_sだから、私たちはよく犯人探しをして「お母さんが悪い」とか、「家庭が悪い」とか、「弟が家庭内暴力だったからこうなったんだ・・・」などと結論付けてしまい、何となくわかったような気がしてきますが、実際には何の解決にも至っていないことがしばしばあります。

一番大事なことは、子どもがとんでもない行動をしていても、その子は、「本当は何をしたいのか?何を望んでいるのか?」を考えることなのです。

結局、本当にしたいことができないから・わからないから色々な問題行動をやっているのです。

自分が自分らしくなれない葛藤があったり、もう少し言えば、「本当に自分が自分らしくなるために、お母さんを殴っている」のです。

6d2ceceab7cab5ffa09a2b262fe5cba8_sなかなか子どもの心理を理解するのは難しいかもしれません。

子どもから殴られ、蹴られ、暴言を吐かれている時などは、特に彼らの心を理解しようとすることは困難であり、何より自分たちの身を守ることで精いっぱいです。

数々の問題行動を繰り返し、周囲を振り回している子どもたちの多くは、「自分の苦しさを分かってほしい。この世の苦しみから解放されたい。今の自分をそのまま受け入れて欲しい。もっと自分の頑張りを認めてほしい」と願っているのです。

パーソナリティ障害者が、本当に求めているものは何か?

895a3b71917b23923970d5849c76feae_s私は、子ども達と面接する際に、「どうしたら、あなたらしくなれるんでしょうか?あなたらしい人生を送れるのでしょうか?それを真剣に考えていきましょう」とお伝えします。

犯人探しは、できるだけしないようにしています。

もちろん過去の親子関係とか、家族構成とか、病理についてとか、キャリアとか、そういったことも当然、押さえておきますが、「誰が悪い。こんなことがあったからこうなった」などのように因果論を追及し続けることはしません。

人間というのは必ず「何かを求めて生きている」のです。

あるボーダーラインの女性は、摂食障害から始まり、SEX依存、恋愛依存、クレプトマニア、自傷行為など数々の依存行動を繰り返していましたが、彼女が最終的に一番求めていたものは、高価な食べ物や飲み物、仕事の業績や地位、異性関係ではなく、母親からの「お前はそのままでいい」という言葉だったのです。

93266cfe339e17b4f5e30a3f831943d5_s彼らと共に生活し、接している中での私の一番の楽しみは、彼らが「本当に求めているもの」を「パッ」と捕まえてあげること、そしてそれを親に翻訳していくことです。

特にパーソナリティ障害の方たちと接する時は、この「本当に求めていること」をつかまえることは至難の業ですが、私にとって、とてもワクワクする作業であり、やりがいのある仕事でもあるのです。