皆さん、こんにちは。
当センターでは、これまで多くの研修生が卒業され、OB & OGとして社会に羽ばたいていかれています。

長年、多くの研修生と寄り添い続けてきた中で、回復パターンにはある一定の基準があることが分かってきました。

また、日々問い合わせを受ける中で「どのくらいの期間で回復していくのでしょうか?」「回復の基準はあるのでしょうか?」「何が目安なのでしょうか?」などとご家族や本人から直接質問を受けることがあります。

今回は、当センター利用者に多くみられる回復パターンについて解説していきたいと思います。

初期: 混乱期 ~不安定で迷いが多い時期~

この時期は、正式に入所を開始してから2~3か月間を指します。まず、研修生は環境の変化から高い不安状態になります。

ここはどんな施設で、どんなところなんだろう?どんな人がいるのだろう?」他の研修生と上手くやっていけるのだろうか?」などと新たな環境での不安を抱きます。

同時に、研修生は当センターを含めたスタッフを本当に信頼するに値するのか、あるいは見捨てられるのではないかという半信半疑な思いを抱いていきます。

この不安な状態は、研修生の「不安耐性(不安に耐える力)」という心の機能を見立てる時期でもあります。

中には、「こんなところ居られない。もう家に帰らせてくれ!」などと親に頻繁に連絡を入れ、退所を訴える方も少なくありません。

この時に、私たちスタッフが「どのように対応するのか」ということを研修生はよく観察しています。

もちろん、彼らは連絡を入れた親の対応も観察しているのです。

この時に親が覚悟を決めて、我が子を「突っぱねられるか」が問われてきます。

我々スタッフも含め、家族も真剣に研修生に向き合う・向き合い続けるという一貫した姿勢が、不安に押しつぶされそうになっている研修生に伝わると、徐々に落ち着きを取り戻していき、この混乱期を乗り切っていけるようになります。

こうして不安な状態から周囲を試す段階を乗り越えていくと、研修生は、スタッフや他研修生に少しずつ信頼を置くようになり、次の段階へと移っていきます。

中期: ~安心感を持ち始める時期~

この時期は、当センターの雰囲気や人間関係にも慣れ始め、少しずつ安心感を持ち始めていきます~約6か月から1年が目安)。

家族のしがらみから解放され、ラクになってきます。

そして「問題の根本は何なのか?」ということに疑問を持ち始め、その対応について少しずつ考え始めるようになります。

この段階は、パーソナリティ障害者の中核部分である「見捨てられ抑うつ」を扱う段階でもあります。

研修生は、安心した環境の中で、自分の様々な感情や葛藤、体験を活発に語るようになります。それを受け止め、解釈を行うことで、研修生の洞察(気づき)を徐々に深めていくのです。

この作業を何度も何度も繰り返すことで、「見捨てられ抑うつ」の根っこが、母親や周囲の重要な人物との関係にあり、幼い頃の体験と結びついていることに気づくようになります。

そして、自分の過去が全てネガティブな側面だけでなくポジティブな側面もあったということに気づき、幼い頃の体験や親との関係を受け入れ直していくのです。

こうして傷ついた体験は乗り越えられ、とらわれから解放され、自由になっていきます。

この時期の特徴は、今まで過去や親子関係に費やされていた多大な精神的エネルギーが、自分自身のためや自立に向けて使えるようになってくる点です。アルバイトや就労活動などもこの時期から少しずつ始まってきます。

卒業: ~自我の芽生えと自立へ~

この時期は、自我の芽生えと共に自分で自分を支えることができるようになっていきます

そして、「自分が社会でどの程度受け入れられるのか?」、「どの程度やっていけるのか?」など試したい気持ちが自然と出てきます。

また、周囲や他人の評価に左右されるのではなく、自分を軸として色々なこと考え、取り組み、そして純粋に楽しめるようになります。

対人関係においても、自分と他人の間に適度な境界線を引けるようになってくるので、「人は人。自分は自分」という発想で他人と付き合えるようになってきます。当然、周囲との比較も少なくなってくるので、生きるのが楽になってきます。

だからと言って、自分一人で頑張り続けるのではなく、必要な時には適度に周囲を頼ることができたりと、バランス感覚も身についてくるのです。

以上が簡単ではありますが、パーソナリティ障害の回復プロセスとなります。

是非、参考にしていただければと思います。