9297bf598d9ae7db89befa74f24538fc_s皆さん、こんにちは。
あやまる」という行為は、時として、対人関係をスムーズに運ばせる一つの選択肢となりえますが、パーソナリティ障害のタイプによっては、この「あやまる」という行為の意味が異なったものになります。

パーソナリティ障害者の中でも、自責感が強いタイプの人は、すぐに謝ることで、その場を無難に収めようとしたり、全てを自分の責任だと思い込んでしまう傾向があります。

ちょっと極端な例ですが、誰かがくしゃみをしたとしましょう。

すると、こういうタイプの人は、「あ~今、自分が動いてほこりを立ててしまい、くしゃみをさせてしまったのは自分の責任だ~」と捉えてしまいます。

こういったタイプの場合は、謝ることはその人のクセになっているので、謝る行為以外でのコミュニケーションスキルを学習し習得してもらいます。

002c2d664bff9d97b1f64615db410fc5_s一方、自己愛性や強迫性、演技性や境界性パーソナリティ障害などのタイプの場合は、他責(他人を責める方向)に出る傾向があり、彼らにとって、あやまるという行為は、「敗北」と同等の意味を持っています。

たとえ自分に否があったとしても、決してあやまることはしません自分の否を認めたくない、認められないのです

こういったタイプの人が、他人に対して「あやまること」が出来るようになることは、回復の目安でもあります。

当然、勝ちか負けかで周囲を見ている限り、あやまることは出来ません。

私自身の臨床経験の中でも、こういった他責傾向のパーソナリティ障害者たちが、「あやまる」という行為を通して学び実践していくことで成長していく姿を目にします。

今回は、一人の体験者の実体験を紹介しながら、あやまるという行為が周囲との人間関係をスムーズに運ばせ、社会性を獲得していく例を見ていきたいと思います。

30代 演技性パーソナリティ障害 女性

e09227888512bc96e3cef71c798371ed_s今回ご紹介する方は、30代の演技性パーソナリティ障害の女性です。

当初、彼女は数々のブランド品を身にまとい、いかにも高貴な女性を演じていました。

演技性パーソナリティ障害の人の特徴ですが、周囲の注目が自分に向くように、様々な努力をします

話の中心にいることができないと、すぐに腹を立ててしまい、自分の話を熱心に聞いてくれる相手を探していきます。

彼女は、当センター入所期間中に、他の研修生との間で、数々のトラブルを起こしてしまいました。

トラブルはよくあることですが、ここでは、お互いにじっくりと話し合い和解するようサポートしていきますが、彼女はいっこうに謝る気配はなく、謝るどころか、相手を徹底的に攻撃していきました。

当初の彼女は、まったく謝ることが出来ませんでしたが、センターでの様々な体験を通して「あやまる」ということは、決して負けではなく、和解のプロセスであることに気がつき始めました

その頃には、数々のブランド品で身をまとうことはなくなり、ジャージ姿でセンター内を歩けるようになりました。

そんな彼女が社会復帰を果たした後に語ってくれた言葉を、本人の同意の上ご紹介します。

彼女のことば:「すいませんでした」

f6132dd75ceda682c4164f5d0795af00_s私の仕事はお弁当屋です。オーダーが入ってからお弁当をつくり、お客さんをなるべく待たせずに、短時間で商品を渡さなくてはいけないのでスピードが勝負です。

人格障害研究センターでは、マイペースに生活をしていましたが、職場ではまったく反対で、要領よく素早く作業しなければならず、自分にとってよい訓練だと思い、毎日気を引き締めて働いています。

職場は人生経験を踏んできた主婦の方が多いのですが、そんな方たちが真剣に仕事をする姿はとてもかっこ良く私の目に映りましたので、教え方が少し厳しくても、「早く一人前にさせる為に言ってくれているんだ」と思えているし、また、仕事中は怖くても、それがその人の本質ではない、という感じがしたので、それほど気になりませんでした。

それだけ真剣なんだと思い、それを受け取るよう心がけました

最近、先生から「あやまる」ことが出来るようになった点が変わったと言われましたが、職場では、正しいやり方というのは、人によって異なるし、それぞれが自分が効率よいと判断したやり方でやっている部分があります。

私のやり方について「こう教わらなかった?」と言われたりすることもありますが、それを「いいえ、私はこう教わりました」と弁明するより、まず一刻も早く仕事が出来るようになることが先決という気持ちで「すいませんでした」と言って、その場で言われたとおりにやってみるようにしています。

e90dcaea31a56f39cad38ce25a7f75b0_s筋を通すことが大事なのではなく、「みんな頑張っていて、それぞれのやり方が違うだけ」と思うので、特に誰かが苦手とか感じることなくやれています。

経験ある方たちと仕事を通じてコミュニケーションができることに感謝しながら、働いています。